【社説】ソウル大工学部博士課程の定員割れが意味するもの

 ソウル大学工学部の2011年度博士課程新入生選抜試験で、前期募集単位14カ所(8学部、3協同課程、3研究中心大学〈WCU〉学科)のうち、電気・コンピューター工学部、機械航空工学部、建設環境工学部など6カ所の志願者が定員割れとなった。昨年は、14カ所のうち8カ所が、09年度には11カ所のうち5カ所が定員割れとなった。

 ソウル大工学部は、韓国科学技術院(KAIST)と共に、韓国国内で工学分野最高の大学として、半世紀もの間、韓国の産業化を率いる技術者を輩出してきた。そのような大学の博士課程が定員割れになっているのは、理工系出身者の賃金がそれほど高くなく、企業内で最高経営者として出世する可能性も低く、技術発展のスピードが速いため、若くして退職を余儀なくされる可能性が高いためだ。

 さらに大きな問題は、ソウル大工学部のグローバル競争力だ。科学技術分野は、国家間の人材移動にほとんど壁がなく、インターネットを通じた同時情報共有が実現、多様な学問の融合で随時新しい分野が創り出されている。このような流れの中で、ソウル大工学部の競争力は、海外の大学の工学部に次第に押され、工学を志す優秀な韓国人学生も外国に目を向けている。

 ソウル大工学部は、世界的な大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)の工科大学分野評価で今年38位となった。アジア圏だけを見ても東京大(7位)、シンガポール国立大(10位)、清華大(11位)、京都大(17位)に大きく後れを取り、10番目という成績だ。世界38位、アジア10位の大学の博士号では、韓国国内の中堅大学の教授職に就くのも難しい。ソウル大だけでなく、主要大学の工学部の実験室が、中国やベトナム、モンゴルなどから来た留学生たちでいっぱいなのもこのような理由からだ。

 実力がある博士課程の学生たちと学界で認められる論文を書いたポスドク(博士号取得後の若手研究者)の研究実績が蓄積されることで、再び優秀な学生が集まるという好循環が生まれる。ソウル大工学部博士課程の定員割れは、数年後に韓国の科学技術のレベルが低下することを予告する憂欝(ゆううつ)な信号であり、韓国の製造業の老化と斜陽を予告する先行指標だ。対策が急がれる。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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