ソウル大工学部博士課程、3年連続で大幅欠員のワケ(上)

海外の博士課程出身者に押され、実験室では雑務処理も

大部分が海外に留学か弁理士・会計士など「実務」選択

 「同窓会で弁理士や技術公務員、司法公務員となった3、4歳下の後輩たちがお金を稼いでいるのを見ると、正直うらやましい。学部を卒業して医学専門大学院に行った友人はまだ正規の医者ではないけれど、後にたくさん稼ぐだろうし…」

 今年2月、ソウル大学電気工学科で博士号を取得し、ソウル市内の大学で非常勤講師をしているA氏(32)は、教授になる夢をあきらめ、大手電子会社に就職することを決めた。A氏は「入社しても、初任給が(年収で)7000万~8000万ウォン(約504万~576万円)の弁理士に比べ、1000万~2000万ウォン(約72万~144万円)少ない。自分のレベルでは、教授になるには能力が足りない。地方の無名大学なら何とかなるかもしれないが」と話した。

 韓国の工学・産業界で最高クラスの人材を輩出してきたソウル大工学部が、博士課程で3年連続して大幅な定員割れを起こしているのには理由がある。工学部の学生、大学院生たちは、「工学を志す学生としてビジョンが見えない」と話す。修士号や博士号を取得しても、外に出れば海外での博士号取得者があふれ、内部では教授の雑務まで処理しなくてはならないのが、ソウル大工学部大学院の現実だ。現在、ソウル大工学部の教授310人のうち、同大工学部大学院出身者は11.3%に相当する35人だけだ。同大工学部で教授になれる確率が低いため、大学院の志願率も低い。

 電子・造船・自動車分野の技術開発に力を入れ、経済発展を導いてきた工学系の先輩たちの誇りも昔の話だ。ソウル大工学部のある教授は、「一人当たり国民所得2万ドル(約166万円)の時代に入りさまざまな職種が生まれ、相対的に理工系のプライドが低下した。国家の収入を左右する工学分野が非常におろそかにされている感じがする」と話した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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