【萬物相】空母ロナルド・レーガンVS空母毛沢東

 先月、西海(黄海)にやって来た米空母ジョージ・ワシントンに描かれた紋章には、「SPIRIT OF FREEDOM(自由の精神)」という文言が入っている。これは、米国独立軍の総司令官だったジョージ・ワシントンが、1770年代に部隊の将兵へ送った手紙に出てくる言葉だ。ワシントンは、独立戦争で米国国民の間に「自由の精神」が胎動し始めるのを見た。そのとき既に、小型の帆船約10隻からなる初期の米海軍には、「ワシントン艦隊」という別名が付いていた。

 米国の原子力空母11隻は、そのほとんどに元大統領の名前が付けられている。ワシントンのほかにも、アイゼンハワー、セオドア・ルーズベルト、リンカーン、トルーマン、レーガン、ブッシュ・シニアなどだ。米国の原子力空母で人名が付けられていない艦といえば、エンタープライズしかないが、同艦も2014年には空母ジェラルド・フォードと交代する。大統領個人を風刺するお笑い番組がテレビで人気を集める一方で、大統領職に対する尊重・尊敬はまた別だという、米国社会の雰囲気が現れているようだ。

 元大統領ではないのに原子力空母の艦名になった栄光の人物が3人いる。太平洋艦隊司令・海軍元帥として第2次大戦の勝利を引き寄せ、戦後は海軍作戦部長になったチェスター・ニミッツ。およそ50年間連邦下院議員を務め、海軍の増強に寄与したカール・ビンソン。そして、娘が空母の建造を後押しした、ジョン・C・ステニス元上院議員だ。カール・ビンソンは、「カネをかけない軍隊は、この世で一番高い代償を払うことになる」と語った。

 日本にいるジョージ・ワシントンと、最近グアムに到着したカール・ビンソンに続き、来年にはロナルド・レーガンまでが西太平洋にやって来る予定だ。このニュースにまず拒否反応を示したのが、中国だ。新華社通信は、「米国の3空母戦闘群が東北アジアに出現したら、この地域の緊張がさらにあおられる」と述べた。

 中国は、ロシアから買い入れた空母を修理し、まず2012年に配備した後、独自技術で建造した空母を2015年に披露する予定だ。中国では、この空母を「毛沢東」と命名しようという話が早くから出ている。フランスには、ドゴール大統領の名前を冠した原子力空母シャルル・ドゴールが、イタリアには、統一と独立の英雄を記念する空母ジュゼッペ・ガリバルディがある。またイギリスは、現有の空母インビンシブル(意味は「無敵」)が退役した後、新しい空母にクイーン・エリザベスという名前を付ける予定だ。韓国の海で、大統領の名を冠した米空母と中国共産党の生みの親の名を冠した中国の空母が、競うように浮かぶ姿を目にする日も、そう遠くはないようだ。どうにも気が重い。

朱庸中(チュ・ヨンジュン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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