東奥信用金庫(阿保篤理事長)は29日、弘前市内の本店で記者会見を開き、30代の男性職員が顧客12人の預金を無断解約するなどして、総額2638万7000円を着服していたと発表した。男性職員は28日付で懲戒解雇処分にした。実質的な被害額が元職員の家族らから全額弁済される見通しだとして、刑事告訴はしない方針。
記者会見には阿保理事長ら役員3人が出席し、阿保理事長が「役職員一同深く反省している。皆さまにご心配とご迷惑をお掛けし、心よりおわび申し上げます」と陳謝した。
同信金によると、着服は9月28日に顧客から「預金を調べてほしい」という問い合わせがあり、発覚した。
元職員は2005年~今年10月、弘前市などの2店舗で渉外担当として勤務していた間、満期が来て継続を依頼された定期預金証書を預かり顧客に無断で解約したり、定期積金の預かり金を入金処理せずに満期まで一時流用するなどの手口で着服や穴埋めを繰り返していた。実質的な被害額は1514万3000円で、着服した金は住宅ローン返済などに充てたという。
2店舗にまたがり、長期間着服が続いていたことになるが、同信金は「抜き打ちの内部監査は行っていたが、必要な書類がそろっているなど表面上は適正と判断され発見できなかった」と話した。
同信金は被害者全員に説明して謝罪し、被害額を弁済している。今後は渉外担当者が取り扱う案件の一部について現金での払い出しを禁じ、顧客に照会状を郵送して確認を求めるなど再発防止に努める。理事長以下管理監督責任のある役職員に対する処分も11月中に行う方針。
また各店に不祥事をおわびするポスターを掲示するほかホームページにも概要を掲載、顧客からの問い合わせに答えるとしている。