健康

文字サイズ変更

サルコーマ治療:全国の医師連携 17病院でネットワーク、近く東京に治療拠点も

 ◇専門医少なく「がん難民化」の恐れ

 患者も専門医も少なく、「忘れられたがん」と呼ばれるサルコーマ(肉腫)の治療に積極的に取り組む動きが広がってきた。大阪府立成人病センターの高橋克仁部長らは全国の医療施設が互いに連携して1人の患者を治療するネットワーク「キュアサルコーマセンター」を設立。東京都内の連携病院に全国初の専門治療センターを設けることも決まった。

 肉腫は、骨や筋肉、腹部、胸部など、体のさまざまな場所にできるがんで、上皮細胞にできる通常のがんとは性質が異なる。国内の患者発生数は年間約1万人で、がん全体に占める割合は1~2%程度。特に大人ではまれだ。中でも大人の胸部や腹部の内臓にできる肉腫は専門医が少なく、転移・再発すると治療が拒否されやすい。その結果、「がん難民化」してしまうことが多い。

 キュアサルコーマセンターの設立メンバーで、患者グループ代表の大西啓之さんも妻が患者で、病院探しに苦労した。専門医を探す過程で医師の連携ができ、センター作りにつながった。

 センターに参加しているのは大阪、東京、神奈川、千葉、静岡、京都、岡山の17病院。患者や主治医からの連絡を受け、医師、薬剤師らが地域の枠を超えて連携し、患者を支援する(連絡先は、curesarcoma‐c@smtrc.org)。転移・再発しても、適切な外科手術と薬物治療の併用で、QOL(生活の質)の向上や長期生存につながるケースが増えてきているという。

 2年半後をめどに、新山手病院(東京都東村山市)に「肉腫(サルコーマ)胸部・腹部外科治療センター」(15床)を設立することも決まった。高橋部長は「がん難民を減らすためにも大人の胸部・腹部肉腫の診療体制確立が必要で、専門医を育成し、診療・研究を集約する専門センターを作りたい」と話している。【青野由利】

毎日新聞 2010年12月26日 東京朝刊

PR情報

病院・病気・お薬検索

健康 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド