24日午後11時40分ごろ、福岡県太宰府市向佐野４の県道交差点でワゴン車と乗用車が衝突し、はずみでワゴン車が県道沿いの池に転落した。県警によると、転落したワゴン車には生後６カ月の男児を含む男女９人が乗っており、３人が自力で脱出。６人は救助され病院に搬送されたが、５人が死亡し、意識不明の重体だった男児も25日夜に死亡した。乗用車の男性も池の中から見つかり、死亡が確認された。

　ワゴン車に乗っていたのは友人同士で、福岡市内のイルミネーションを見に行く途中だったという。死亡したのは県立八女農業高校３年で同じクラスの井手綾美さん（17）＝同県八女市、石原瞳さん（18）＝同県久留米市、末吉泰子さん（18）＝同県筑後市＝のほか、農業手伝いの佐藤慎一郎さん（18）＝八女市、アルバイトの山本翔さん（18）と山本さんの息子、悠斗ちゃん（６カ月）＝同。

　自力で脱出したのは男性２人と女性１人。いずれも18歳で、軽傷。女性は悠斗ちゃんの母親。ワゴン車は乗車定員７人で、県警は定員オーバーによる道交法違反の疑いがあるとみて調べる。

　また、乗用車を運転していた近くに住むアルバイト、秦智之さん（26）＝太宰府市＝も池の中で見つかり、死亡。秦さんの乗用車は、現場近くのガソリンスタンドに左前部が破損した状態で放置されていた。秦さんが池に飛び込んだとの目撃証言があり、県警は救助のためだった可能性もあるとみて詳しい状況を調べている。

　事故現場は片側２車線の県道と細い路地が交わる信号機のある交差点。県警などによると、ワゴン車が県道を福岡方面に北上中、右側から来た乗用車と衝突、はずみで左側にはみ出し、ガードレールなどを突き破って池に落ちたとみられる。

　この県道は交通量が多く、ワゴン車の走行方向は緩やかな下り坂。県警は２台の衝突の状況やスピードなど事故の経緯を詳しく調べている。

　ワゴン車が沈んだ付近の池の水深は３メートル弱で、当時は水温が５度程度、気温は３度程度だったとみられる。