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視界さえぎるにごり水、手探りの救助及ばず 太宰府事故

2010年12月26日22時41分

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 福岡県太宰府市で24日、ワゴン車が池に落ちるなどして7人が死亡した事故で、現場で救助にあたった筑紫野太宰府消防本部の隊長らが26日、記者会見した。池は濁りがひどく視界がきかなかったため、ワゴン車の中から手探りで5人を引き出した様子を説明。「助けたい一心で活動したが、条件が悪すぎた」と悔しそうに語った。

 現場で救助隊長を務めた筑紫野消防署の本田豊章係長(37)らによると、救助隊は24日午後11時50分ごろ現場に到着。事前に「車内に5〜6人いる。別にあと1人が池に飛び込んだ」との情報を得ていたが、池は濁りがひどく、投光器を使っても車の場所がわからなかった。隊員が潜ってワゴン車を発見。岸から約5メートル離れていたため、ウインチを使って車を岸に寄せたほうがいいと判断した。

 その途中、車の後部のすき間から隊員2人が手を入れて車内を探ると、生後6カ月の山本悠斗ちゃんの頭に触れた。真っ先に引き出したが、救出できた時には到着から約1時間が過ぎていた。

 水温が約5度と低く、水中の作業は15〜20分ごとに交代して行ったという。悠斗ちゃんを引き揚げたあと、さらに約1時間かけて車内から4人を救出。福岡県警の潜水隊が水中から残る2人を引き揚げ、救助が終わったのは事故発生から約4時間半後だった。車内や水中から救助した7人全員が死亡した。

 現場指揮隊長を務めた太宰府消防署の中嶋幸博課長(59)は「1分1秒でも早く救出しようと最善を尽くしたが、条件があまりにも悪かった」と話した。

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