緊迫する朝鮮半島情勢、北朝鮮の狙いは?

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緊迫する朝鮮半島情勢、北朝鮮の狙いは?

< 2010年12月28日 3:24 >
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 北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃してから約1か月がたったが、韓国軍が今週も軍事訓練を続けるなど、朝鮮半島では緊迫した情勢が続いている。

 朝鮮半島をめぐる情勢は、今年一気に緊張した。3月の韓国軍の哨戒艦沈没に続いて、11月には海の軍事境界線に近い延坪島が北朝鮮に砲撃された。朝鮮戦争が53年に休戦してから、陸地への直接攻撃が起きたのは初めて。2つの事件で、民間人を含む50人が犠牲となった。韓国・李明博大統領は「(北朝鮮との)これ以上の交流や協力は無意味なことです」と述べ、南北交流のほとんどを中断。関係は決定的に冷え込んだ。

 北朝鮮はなぜ、こうした挑発を行ったのか。考えられるのが、対話を求めての“揺さぶり”。対話を望むなら妥協する姿勢を見せるのが普通だが、北朝鮮のやり方は逆。

 慶応義塾大学専任講師・礒崎敦仁氏「北朝鮮は、経済環境を好転させたいという自らの目標のために、米韓との交渉を望んでいたわけです。しかし、なかなか米韓はそれに反応しない。ここで一気に交渉に持ち込むための強硬策に出た可能性もある。“我々の国(北朝鮮)と交渉しなければ、また、こういうことが起きますよ”ということ」

 そして、もう一つが北朝鮮内部の問題。韓国・金寛鎮国防相は「北朝鮮が挑発をする理由は色々な状況や理由が考えられるが、まず北朝鮮の内部体制に問題があると考える」と述べている。北朝鮮では、9月に金正日総書記の三男・正恩氏が後継者としてデビューした。その求心力を高め、国内を引き締める狙いがあるという。来年も後継体制の構築は着々と進むとみられる。体制強化にプラスに働くと判断すれば、挑発は止まらないおそれもある。

 北朝鮮のこれ以上の暴走は防げるのか。カギを握るのは「アメリカ」と「中国」。北朝鮮は、新たな核開発の証拠である「ウラン濃縮施設」をアメリカの科学者に見せた。そして、その直後に、アメリカ・ニューメキシコ州のリチャードソン知事に譲歩とも取れる姿勢を示した。アメリカへの対話の誘いだ。今のところ、日米韓は「対話のための対話はしない」という点で一致している。

 アメリカ国務省・クローリー次官補「北朝鮮はいつもやりもしないことを口にする」

 これまで、支援だけさせられ、核の放棄に向けた動きが進まなかったという苦い経験から、簡単には対話に応じられないアメリカ。しかし、放置すると北朝鮮の暴走が止まらなくなるのではという危機感もあり、苦しいところだ。

 アメリカの元6か国協議代表、ビクター・チャ氏「懸念しているのは、(北朝鮮の)最近の挑発行為のサイクルです。挑発行為が前よりも頻繁になっています。ミサイル発射や核実験など、従来の挑発行為だけでなく、通常戦力においても、より攻撃的になっている」

 北朝鮮・金永春人民武力相は「朝鮮半島には、いつ戦争が起きるかわからない、一触即発の情勢が作り出されている」と警告した。韓国政府の研究機関は「北朝鮮が延坪島などの島に直接侵攻したり、3回目の核実験に踏み切ったりする可能性もある」と指摘している。

 自らが望む形で対話のチャンネルが開かれない限り、北朝鮮は隙をついて、ありとあらゆる形で挑発を行うおそれがある。朝鮮半島の緊張は来年も続きそうだ。

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