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【主張】菅首相 腰砕けでは政権もたない
菅直人首相の腰が定まらぬ姿に、国民はあきれるばかりだ。
民主党は27日の役員会で、来年1月の通常国会までに衆院政治倫理審査会での議決により小沢一郎元代表の出席を求める方針を確認した。
だが小沢氏が強制力のない政倫審への出席を拒んでいる以上、この方針に実質的な意味はない。
党役員会では野党が政倫審ではなく小沢氏の証人喚問を要求していることも取り上げられたが、首相も出席していながら、どうして実効性のない政倫審議決という結論になったのか。
小沢氏はラジオ番組で「明治の指導者は敵からも登用した」などと発言し、説明責任を求める首相の姿勢を逆に批判している。首相は「党の決定に従えないなら本人が出処進退を考えるしかない」と語ったが、説明責任を果たさせるには証人喚問の実現しかない。その決断を避けた首相や岡田克也幹事長の責任は極めて重い。
一方で、首相はたちあがれ日本に連立を呼びかけたが、たちあがれ日本側は反対論が大勢となり、拒否した。消費税増税を含む税制抜本改革での連携を狙ったようだが、そもそもたちあがれ日本は民主党に参院で過半数を取らせないために結党したのではなかったか。即座に拒否すべきだった。
民主党はすでに外交・安全保障政策などで開きがある社民党との連携の動きもみせている。社民党とたちあがれ日本の主張は真っ向から対立している。そのことを考えると、菅政権が一体何をやろうとしているか全くわからない。
数合わせを求め、失敗を繰り返していては政権の求心力は急速に失われていこう。
菅政権は、ばらまき公約に強い批判を浴びながら、これを撤回せずに来年度予算編成を行った。首相が消費税について「年明けに方向性を示したい」と表明しても、十分な説得力を持たない。
首相は自衛隊を「暴力装置」と発言して問責決議を可決された仙谷由人官房長官の更迭も見送るようだが、懸案を先送りしている限り、展望は開けない。
さきの茨城県議選に続き民主党は東京・西東京市議選でも惨敗を喫した。西東京市は中選挙区時代、首相が地元とした旧衆院東京7区に含まれていた地域だ。首相や民主党への支持がいかに急速に失われているかを示している。