ヴィクトワールピサ完璧一冠! 新時代の主役へ=皐月賞 (2/2)
「三冠狙える器」――代打の岩田、殊勲の好騎乗だ
■ダービーでの二冠はもちろん、三冠も見えてきたか
トリッキーな小回りコースの多頭数ゆえ、魔物が潜む中山2000メートル皐月賞だが、終わってみればヴィクトワールピサの強さが目立ったばかり。新馬戦で後塵を拝まされたライバルのローズキングダムを完ぺきに打ち負かした今、次は『1強』として日本ダービー(5月30日、東京2400メートル芝)での二冠はもちろん、気が早い話かも知れないが、秋の菊花賞(10月24日、京都3000メートル芝)での三冠制覇も現実味を帯びてきたのではないか。
「そうですね。東京2400メートルでも全然大丈夫だと思いますし、本当に冷静な馬でまだ余裕をもって走っている。そういう器だと思いますね。あとはこのまま無事に行ってくれれば、自然と結果はついてくると思う」
そう太鼓判を押す岩田だが、ダービーでの継続騎乗については「僕は代打なんで」と即座に否定。「ユタカさんが早く復帰されて、またコンビを組んでダービーを狙ってもらいたいですね」。
角居調教師もダービーでのコンビついては「この馬のために復帰したいと言ってくれていますし、ユタカさんで」と明言。早ければ5月16日のGIシンガポール航空国際カップ(ヤマニンキングリーに騎乗予定)で戦列復帰を果たす武豊とのコンビ復活で、ダービーでの二冠、そして菊花賞での三冠を狙うことになりそうだ。
■ウオッカの後継馬へ、角居師「いいスターホースになってくれれば」
ウオッカが去り、牝馬戦線はブエナビスタ、レッドディザイアの活躍で活気はあるものの、牡馬戦線は今ひとつ“柱”が現れていない日本競馬界。そんな停滞ムードを一気に吹き飛ばすスターホース、その可能性を持った馬がヴィクトワールピサ。
岩田が「重厚感があってウオッカみたい」と語れば、そのウオッカを手がけた角居調教師も新たなエース登場に頬を緩ませる。
「ウオッカから途切れずにうまくつながっていきましたね。競馬を盛り上げてくれる、いいスターホースになってくれれば」
ヴィクトワールピサが歩む三冠ロードは、そのまま日本競馬界の未来につながる道なのかもしれない。1カ月後の日本ダービーでは、ウオッカの後継馬として、そしてそれを超えるヒーローの座へと駆け上がっていくか。
■「勝ったと思ったが……」ローズキングダム王座陥落
復権はライバルに打ち砕かれた。ヴィクトワールピサから遅れること0秒2差。数字だけ見れば微差ではあるものの、内容としては完全な力負け。せめて2着を死守したいところだったが、それもヒルノダムール、エイシンフラッシュにハナ+ハナ差競り負け、ローズキングダムは4着敗戦という結果に終わった。
「道中は厳しいポジションでもうまく折り合ったし、直線で馬群を割ったときは『勝った』と思ったんだけどねぇ……」
主戦の小牧太が振り返った。前走スプリングSよりも道中は前に位置づけ、先行集団を見る形で追走。さらに体重が6キロ減った438キロの小柄な馬体の不利をモノともせず、馬群の真ん中から積極的に仕掛けて勝負に出る。
ジョッキーが振り返ったように、直線坂では壁になった先行馬の間を割り、GI朝日杯FSの再現かとも思われた。しかし、「内から来た馬とは脚が違っていたよ」。インから豪快に伸びたヴィクトワールピサの脚に、この日は降参するしかなかった。
これで着順を落とす連敗となり、デビュー戦で負かしたヴィクトワールピサに今度は逆転されての王座陥落。三冠ロードはいっそう厳しい戦いとなってきた。
しかし、5.30日本ダービーの舞台である東京コースの左回りは、ライバルが未経験であるのに対し、こちらは強い内容で重賞勝利の実績。わずかながらアドバンテージは残されている。もちろん、まだ1勝1敗、このまま白旗を上げ続けるつもりもない。
再びの頂上決戦、そして3度目の対戦=決着戦は1カ月後。王国復活へ、ローズキングダムが牙を研ぎなおす。
・武豊ヴィクトワールピサ4連勝! 皐月賞へ主役交代だ=弥生賞 (2010/3/8)
・Yahoo!映像トピックス「皐月賞 1番人気ヴィクトワールピサV」 (2010/4/19)
・スポーツナビ 競馬――ニュース、展望、コラムなど (2010/4/18)
・スポーツナビ 競馬 2010年レースフォトギャラリー (2010/4/18)
・スポーツナビ競馬担当 ツイッター始めました(外部サイト) (2010/4/18)