きょうのコラム「時鐘」 2010年12月27日

 何によらず、私たちはランク付けが好きである。年末恒例の十大ニュースもその一つ。残念ながら、イヤな出来事が目立つ

明るい話題が並ぶはずのスポーツ十大ニュースも、1位が「角界激震」。土俵の外の騒ぎに、目が集まった。肝心の勝負の世界で輝いた「ロッテ日本一」は5位。野球ファンは異論、反論があるに違いない

ランク5位に甘んじたロッテのコーチ・金森栄治さんが先ごろ、地元の金沢で講演した。日本一のコーチは、目先の結果よりも基礎固めが大事だと強調し、「ぶれない指導」の大切さを説いた。そうやって、金森さんはBCリーグの王者を育て、日本一の強力打線をつくった

順位付けは難しい。時に厄介でもある。清水次郎長一家で強いヤツは、と森の石松が問う。芝居でおなじみの場面で、「一に大政、二に小政」と続き、石松の名は一向に出てこない。「おい、大事なのを忘れちゃいないか」と本人はいらつく

ぶれる指導者、目先にこだわる集団を見慣れた一年だった。それだけに、金森さんの言葉はチクリと耳を刺す。そう、大事なことを忘れたまま、年を越すところだった。