よく、こういう人がいる。何か、難しいことを考えていそうな、話しかけるのもはばかられるような、そんな空気を醸し出す人。後から「さっき、思いつめてたね」と声をかけると、「え? あぁ、ボーっとしてただけ」と、拍子抜けさせる事実。
何を考えているか教えろとまでは言わないが、集中しているのか、ただの天然なのか、それは知りたい。紛らわしいから。
だからこそ、この情報は待望だった。東芝は、脳波から集中力を測定できる機器を開発中で、5月下旬に発売する予定だそうだ。
この装置を使えば、何ができるか? たとえば、コレはどうだ。勉強してるフリして頭の中は別のことを考えている子供を見逃さない。会社の会議でいるんだかいないんだかわからない社員の集中力を露わにしてみたり。
その辺について、直接、東芝に問い合わせてみた。
「様々な利用法が考えられますが、当面の用途は簡単なゲームや音楽鑑賞です。例えば、ゲームに使うと、集中すると炎が出るとか、リラックスするとボールが浮くとか、念力で物を動かすような、新しい感覚の操作が可能になります。音楽鑑賞に使うと、曲を再生している間のリラックス状態を記録して、後で自分がもっともリラックスできる曲はどれか、というようなことがチェックできます」
と、遊び心あふれる微笑ましい使い方。だが、勉強中の子の集中度合いを測るやり方にだって使える日が来るかもしれない。さぼりグセのある人は、まだ油断ならない。
そして、この装置の使い方について。画像を見ていただければおわかりのように、形がまさにヘッドフォン。この内側には突き出たアームがあり、この先に小さいボールのようなセンサーがある。それをおでこに当てて、脳から出る非常に微弱な電流を読み取るのだ。
この読み取った脳波のデータは、無線でパソコンに送信される。すると、パソコンの画面上に、集中とリラックスの状態がメーターとして表示される。まさに、“集中力が目に見える装置”。
それにしても、こんな“科学的”な装置が、家庭用の機器として発売される日が来るだなんて。価格だって「2万円程度を予想しております」(担当者)と、手の届く範囲。
だからこそ、証明したい。何か考えていそうで、何も考えてない人もいる。その逆に、一生懸命何かを考えているのに、「なに、ボーっとしてるんだよ!」と叱責されるような人だっている。私みたいな。
何かを考えているということを、この装置で証明したい。
(寺西ジャジューカ)