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後絶たぬ悪質飲酒運転 代行途中で降り…自らハンドル

2010年12月27日

 飲食店などで酒を飲み、帰宅のため運転代行を頼んだものの、途中で降りて自宅までマイカーを運転する人が後を絶たない。代行料を抑えたい、自宅を知られたくないなどが理由だが、飲酒運転に変わりはない。利用者のモラルに訴えるしかなく、代行業者や警察は対応に苦慮している。

 県警によると、県内では今年、運転代行を頼んだのに途中で降りてマイカーを運転したとして、十数人が道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで取り調べを受けた。

 丸亀市で2月18日夜、取り調べを受けた50代男性は同市の居酒屋で1人で飲酒し、運転代行を手配。だが、途中で代行業者を帰らせ、自らハンドルを握った。男性は「自宅近くまで来たら、警察に見つからないだろうと思った」と話したという。男性は同容疑で書類送検された。

 最近の飲酒運転の厳罰化に伴い、代行業者は全国で倍増し、約8千社に及ぶ。県内でも十数社が新規参入し、利用客の増加とともに「モラル」を疑うような客も目立ってきたという。

 高松市のある代行業者は「自宅とは思えないような場所で降りる人もいる。女性客はプライバシーを気にしてか、自宅まで送らせない人が多い。本来、客にハンドルを握らせるわけにはいかないのだが…」と打ち明ける。

 同市の代行業者で運転手をしている30代男性は「公園付近で降りようとしたので、自宅はどこかと問いかけると『おれは客だ。ここでいいといったらいいんだ』と激怒された。客の言い分を信用するしかない。客商売なので強く言えない」とこぼした。

 代行を頼んだのに最後は自ら運転し、取り調べを受ける人は福岡、群馬、岐阜、神奈川県などでも相次ぎ、「代行料金がもったいない」「家の近くまで来たから大丈夫と思った」などと供述している。

 全国運転代行協会(東京)は「そのような問題があることは認識している。心外だ。しかし、利用客に問いただすとけんかになり、商売に影響を及ぼす可能性がある。従業員の8割以上がアルバイトで、深く問題に切り込めない実態もある」としている。

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