ロシアのカジノを一掃せよ 大統領、プーチン首相から政策一任 (1/3ページ)

2010.12.27 05:00

警察の手入れを受けるモスクワ市内のカジノ。業界内には規制に対する不満が強まっている(ブルームバーグ)

警察の手入れを受けるモスクワ市内のカジノ。業界内には規制に対する不満が強まっている(ブルームバーグ)【拡大】

 ロシアのメドベージェフ政権がロシア国内のカジノ規制強化に向け動き出した。世界のカジノ産業が拡大を続けるなか、ロシアの市場が崩壊に向かっていることに業界内からは見直しを求める声が出ている。

 ◆世界の流れに逆行

 ニコライ氏(50)は、ガードマンとあいさつを交わしながらモスクワ中心部にあるナイトクラブに入り、ガラスの壁の裏に隠された部屋に向かった。

 17日午後10時。ポーカープレーヤーで混み合った賭博場へのドアを開けた。ブルーのフェルト地のテーブルの上に2万ルーブル(約5万4000円)のチップを積み上げ、賞金60万ルーブルのポーカー大会のポスターを指差した。

 ロシアではポーカーはスポーツとされていたが、プーチン首相は昨年、モスクワから遠く離れた地域を除きカジノを全面的に禁止。同氏は「賭博禁止法は、真っ当な人間を闇の世界に追い込むことになっただけだ」と話す。

 カジノ産業が世界的に拡大するなか、ロシア政府によるカジノ追放はポーカー賭博の地下化を招いている。米コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した試算によると、世界全体の賭博産業の収益は2014年までに57%増の1570億ドル(約13兆円)になると見込まれている。

 ニコライ氏が足しげく通っているような賭博場がいまだに営業していることについて、メドベージェフ大統領の不満が募っている。

 同大統領はプーチン首相から賭博禁止政策を一任されている。プーチン首相は大統領職にあった06年、賭博への依存を低下させ、組織犯罪を取り締まるために賭博禁止を発案。09年7月1日にポーカーを禁止する賭博禁止法が施行された。地方の4地域のみは営業が許可されているが、いまだに開発が進んでいない状態にある。

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