先週のソフト編に続き、今週はハードウェアの個人的な年間ランキングを紹介することにしよう。2010年の1年間に試聴室に導入したコンポーネントのなかから以下の製品を今年のベスト5に選ぶことにした。
第1位:ウィルソンオーディオ「Sophia 3」
第2位:リン「Majik DS」
第3位:フェーズテック「HD-7A」
第4位:デンセン「DP4 Drive」
第5位:オリオスペック「hush Ripping Music Server」
Sophia 3は、ネットワークオーディオを中心に環境を整えつつある2番目の試聴室専用にこの秋導入したスピーカーで、メインの試聴室は従来通りB&WのSignature Diamondを中心にしたマルチチャンネルのシステムを使っている。
傾向が異なる2つのスピーカーを使っていると、同じディスクを聴いても新しい表情に気付くことがあり、楽しみが倍加する。Signature Diamondでは気付かなかった響きをSophia 3で見つけたり、Sophia 3とは違う魅力をSignature Diamondで発見することがあるのだ。
たとえば、Sophia 3は低音の質感の描き分けが精密で、硬く速い低音から柔らかく深い低音まで、忠実に鳴らし分ける能力が高い。一方のSignature Diamondはスピーカーの存在が消える自然なパースペクティブと音色の透明感が際立っている。それぞれの試聴室にリンのDSを設置し、共通のライブラリで聴き比べられるので、両者の差がくっきり浮かび上がるという利点もある。
2台目のDSとして導入したMajik DSは、2010年春の時点ではデジタル出力を積む唯一の製品だったことが購入理由の一つだが、その後、Akurate DSもリニューアルされて同じ装備を載せてきた。従来のAkurate DSよりもKlimax DSに近付いた注目機だけに気になる存在だが、Majik DSのバランスの良い再生音も気に入っているので、いまのところ買い換える予定はない。普段はアナログ出力を聴いているが、D/Aコンバーターを試聴する際のソースとしても活用している。
そのD/Aコンバーターだが、今年はピュアオーディオグレードのUSB-DACが各社から登場し、話題をさらった。自宅試聴室ではフェーズテックのHD-7Aを発売直後から使っているが、分解能の高さと緻密な空間再現力はいまの時点でも高く評価することができる。
最近は新しい方の試聴室でバージョンアップしたエアーのQB-9も使っているが、HD-7AとQB-9は音調が異なり、甲乙つけがたいというのが率直な印象だ。近いうちに同じ部屋に持ち込んで聴き比べてみる予定だが、その結果はあらためてこの連載で紹介することにしよう。
4位に挙げたDP4 Driveは、LEDを光源とする光発電機構をMCヘッドアンプ用に搭載したユニークなフォノイコライザーアンプだ。粒立ちの良さとスピード感のあるサウンドが気に入って購入したのだが、洗練されたデザインも購入理由に含まれる。コンパクトで音の良いフォノイコライザーアンプを探している人にぜひお薦めしたい良質な製品だ。
5位のhush Ripping Music Serverはその名の通りリッピング機能を内蔵した高音質のNASで、ファンレス&SSDという静音設計が功を奏し、音の良さが際立っている。外見もオーディオコンポーネントライクで、仕上げの質感も高い。Klimax DSと並べて置いても見劣りしないほぼ唯一のNASと言っていいだろう。
2010年はオーディオ系の製品ばかりになってしまったが、2011年早々に新しいプロジェクターを入手予定なので、来年は映像系の話題をたくさん紹介できると思う。