蒼井そらが心に抱え、彼女自身を壁の外側の世界(AV)へと跳躍させたもの、それは、彼女のフォロアーとなった中国の70万の若者たちも同じよう共有している閉塞感、空しさではなかったか?
高度成長期の日本のように発展著しい中国と閉塞感や空しさは無縁のものと思うかもしれないが、実態は逆だ。共産党幹部にコネを持っている連中、苛酷な弱肉強食の生存競争を勝ち抜いて海外に留学したり、不動産などを取得した一握りのエリート層や富裕層を除けば、大半の中国の若者にとって未来は閉ざされたままである。
そのことを端的に表しているが、最近の不動産価格の高騰である。中国では2000年から住宅取得ブームが続いてきたが、不動産価格の上昇とともに経済も成長しているので、バブルとは考えられていなかった。しかし、リーマンショック後の世界的な景気後退の中で、中国政府が金融緩和に動いたことから、2009年から上海の不動産価格は急騰し、住宅は一般勤労者が一生かかっても取得できない高嶺の花となってしまった。
今、上海の女性たちが結婚相手を選ぶ最優先の条件は、相手が住宅を持っているかどうかだという。国の経済規模は拡大しているがその恩恵を得られないばかりか、チャイナドリームが蜃気楼のように目の前から遠ざかっていく繁栄の中での空しさ、閉塞感を今の中国の若者たちは苦々しく受け止めているのだ。そして、彼らのその空しさが、海を越えて日本の平成のセクシーアイドル、蒼井そらの抱いていた空しさと共鳴している。
蒼井そら(苍井空)の「空」に共鳴する中国の若者
蒼井そらは、中国のメディアのインタビューに答えて、「AVという仕事を職業として認めさせたい。AVに対して偏見を持っている人たちに制作現場の人たちのプロ意識や真剣さを伝えたい」と述べている。敵が誰だかわからない高度にシステム化されてしまったこの国において、蒼井そらは、誹謗中傷が渦巻くAVの世界にあえて身を置くことで、闘う相手を見つけたのかもしれない。
私は夢想する。いつの日か天安門広場で渦巻く反日デモの若者たちの先頭に蒼井そらが立ちはだかり、中国の若者たちに呼びかける「造反有理!」と。しかし、その旗印に掲げられるのは、「反日」ではなく、「空」の一文字だ。
高度成長期の日本のように発展著しい中国と閉塞感や空しさは無縁のものと思うかもしれないが、実態は逆だ。共産党幹部にコネを持っている連中、苛酷な弱肉強食の生存競争を勝ち抜いて海外に留学したり、不動産などを取得した一握りのエリート層や富裕層を除けば、大半の中国の若者にとって未来は閉ざされたままである。
そのことを端的に表しているが、最近の不動産価格の高騰である。中国では2000年から住宅取得ブームが続いてきたが、不動産価格の上昇とともに経済も成長しているので、バブルとは考えられていなかった。しかし、リーマンショック後の世界的な景気後退の中で、中国政府が金融緩和に動いたことから、2009年から上海の不動産価格は急騰し、住宅は一般勤労者が一生かかっても取得できない高嶺の花となってしまった。
今、上海の女性たちが結婚相手を選ぶ最優先の条件は、相手が住宅を持っているかどうかだという。国の経済規模は拡大しているがその恩恵を得られないばかりか、チャイナドリームが蜃気楼のように目の前から遠ざかっていく繁栄の中での空しさ、閉塞感を今の中国の若者たちは苦々しく受け止めているのだ。そして、彼らのその空しさが、海を越えて日本の平成のセクシーアイドル、蒼井そらの抱いていた空しさと共鳴している。
蒼井そら(苍井空)の「空」に共鳴する中国の若者
蒼井そらは、中国のメディアのインタビューに答えて、「AVという仕事を職業として認めさせたい。AVに対して偏見を持っている人たちに制作現場の人たちのプロ意識や真剣さを伝えたい」と述べている。敵が誰だかわからない高度にシステム化されてしまったこの国において、蒼井そらは、誹謗中傷が渦巻くAVの世界にあえて身を置くことで、闘う相手を見つけたのかもしれない。
私は夢想する。いつの日か天安門広場で渦巻く反日デモの若者たちの先頭に蒼井そらが立ちはだかり、中国の若者たちに呼びかける「造反有理!」と。しかし、その旗印に掲げられるのは、「反日」ではなく、「空」の一文字だ。
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コンサル会社に勤務するサラリーマン。
日経BPのメールマガジン内で「カトラーのマーケティング時評」も担当。
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