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【こども記者らのわくわくリポート】

競技かるた 小倉百人一首 全国に8人「専任読手」

2010年12月26日 日曜日

 もうすぐお正月。昔(むかし)ながらの正月遊(あそ)び、百人一首で遊んだことはあるかな。こども記者(きしゃ)は、競技(きょうぎ)かるたの元クイーンで、今は全(ぜん)国に8人しかいない専任読手(せんにんどくしゅ)の1人、九段(だん)の山下迪子(やましたみちこ)さんを取材(しゅざい)して、競技かるたの世界(せかい)に触(ふ)れてきました。

秒単位で定められたルール 厳しい“室内スポーツ”

小倉(おぐら)百人一首を並(なら)べ、山下迪子(やましたみちこ)さん(左から3人目)の話を聞くこども記者(きしゃ)たち=大阪府池田(おおさかふいけだ)市で

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 記者たちが訪(たず)ねたのは大阪府池田(おおさかふいけだ)市にある大阪暁(あかつき)会の練習(れんしゅう)場。ピンと張(は)り詰(つ)めた空気の中、読み手が上の句(く)を読み始(はじ)めた途端(とたん)、選(せん)手の手が伸(の)びて、他(ほか)の札(ふだ)を飛(と)ばしながら下の句が書かれた札をバシッ。その様(よう)子に背筋(せすじ)が伸びる記者たち。

 「競技かるたは室内スポーツです」と山下さん。全日本かるた協(きょう)会が定(さだ)めたルールがあり、小倉(おぐら)百人一首を使(つか)って1対(たい)1で対戦(せん)します。取(と)り札は無(む)作為(い)に選(えら)んだ50枚(まい)を使い、自分と相(あい)手の陣(じん)地に25枚ずつ並(なら)べます。自分の陣地の札が早くなくなった方が勝(か)ち。

余韻、間合いを大切に

 一方、読み手は100枚全(すべ)て読みます。上の句を読むと、選手が下の句の札を取ります。札を整(ととの)え直す時間をおいてから読み手は下の句を読みます。「気を付(つ)けることは余韻(よいん)と間合い、上の句の第(だい)一音」。下の句の最(さい)後の音を伸ばして余韻を3秒(びょう)、1秒の間を空け、次(つぎ)の札の上の句を読みます。

 「選手は息(いき)を止めて上の句の第一音を聞いています」。そのため第一音をはっきりと。5・7・5・7・7の和(わ)歌のリズムに合わせ「低(ひく)い音と高い音だけで読み、節(ふし)は付けません」。秒単位(たんい)などの決(き)まり事(ごと)を知り、記者たちはびっくり。

 さらに、大きな大会のときは選手の状態(じょうたい)を見ることも大切です。「選手が今読んでほしいと思っているかどうか見計らいます。お手付きをしないで取ってくれたときはホッとしますよ」

 山下さんは高校1年のときに競技かるたを始め、クイーンに3度輝(どかがや)きました。1996年、名人戦やクイーン戦など主(おも)な大会で読むことができる専任読手となり、対戦を支(ささ)える立場になりました。「百人一首は生活の一部(ぶ)。家事(じ)をしながら発(はっ)声練習をしています」

 対戦が始まると読み手は約(やく)1時間半立ちっぱなし。「名人戦などは体重(じゅう)が減(へ)るくらい気を使うけれど、緊張(きんちょう)しても手足は震(ふる)えません。選手時代(だい)の経験(けいけん)が役(やく)立っています」と話します。

 大阪暁会では小学生から大人まで教えています。「子供(ども)たちには礼儀(れいぎ)作法(ほう)と言葉遣(ばづか)いの大切さを伝(つた)えたい」。かつて、かるたを通して何事にも頑張(がんば)るようになった高校生の姿(すがた)に接(せっ)して「幸(しあわ)せに思いました」。

 「子供からお年寄(よ)りまでみんなができることと、努(ど)力した結果(けっか)が見えることが競技かるたの魅(み)力」と山下さん。選手たちのすさまじい集(しゅう)中力と暗(あん)記力に圧倒(あっとう)されながら、記者たちもやってみたくなりました。

◆長谷川(はせがわ) 実咲(みさき)(津市香良洲(からす)小6年) 専任読手はとても難(むずか)しく、神(しん)経を使う仕(し)事です。百人一首をやると人間に必要(ひつよう)な力が身(み)に付くと思いました。

◆服部(はっとり) 航(わたる)(愛知県一色(いっしき)町一色南部(なんぶ)小6年) 部屋(へや)に入って小学生もいてびっくり。100枚の札を全部暗記して、しかも並べた札の位置(ち)までよく暗記できるな。

◆安江(やすえ) まりな(岐阜県中津川(なかつがわ)市西(にし)小6年) 自分の持(も)っている技術(じゅつ)や知識(しき)を次の世代へつなげようとしている山下さんのことをすてきな女性(せい)だと思いました。

◆黒井(くろい) 七菜子(ななこ)(名古屋市金城(きんじょう)小5年) 専任読手は全国で8人だけ。厳(きび)しいしけんがあるそうです。体調(ちょう)かんりはじゅう分に気をつけているそうです。

◆小林(こばやし) 純也(じゅんや)(愛知県清須(きよす)市清洲(きよす)小5年) 選手たちは正ざではなく、少し前かがみになっていました。すごい速(はや)さで札をとばしていて、びっくりしました。

◆水谷(みずたに) 美緒(みお)(尾張旭(おわりあさひ)市本地原(ほんじがはら)小5年) 山下さんは全国に少ししかいない専任読手として、精(せい)いっぱいいつまでも、がんばってもらいたいなあと思います。

 

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