ことし7月中東のホルムズ海峡で日本の原油タンカーが衝撃を受けて破損した問題で、各省庁などで作る事故原因調査委員会は、「タンカーから少し離れた海上で何らかの爆発物が爆発した可能性が高い」という調査結果をまとめ、27日に開かれる委員会で報告することにしています。
この事故は、ことし7月、中東のホルムズ海峡で商船三井の原油タンカーが何らかの衝撃を受け、船体の後ろが大きく壊れて乗組員1人がけがをしたものです。国土交通省は、日本の8割以上の原油タンカーが通過する海峡で起きたことを重く見て、学識経験者や各省庁で作る事故原因調査委員会を設けて調査を進めていました。その結果、船体の付着物の鑑定からは爆発物の成分は確認できませんでしたが、損傷状況を分析した結果、船や魚雷や機雷の衝突、軍による射撃、自然災害などは考えにくいと判断しました。そのうえで、船体についた放射状の黒いすすや、へこみの大きさ、形から、タンカーから少し離れた海上で何かが爆発した可能性が高いと結論づけました。また、船体に加わった力を計算した結果、爆発物は、国際テロでも使われる「TNT」と呼ばれる爆薬だとすると相当な量が使われた可能性が高いということです。事故原因調査委員会は、こうした調査結果に加え、不審な小型の船がタンカーから遠ざかった直後に衝撃を受けたというレーダーの解析も踏まえて、テロの可能性も考えられるとしています。事故原因調査委員会は、この結果を27日に開かれる委員会で報告し、国土交通省は、日本船舶の安全対策を検討することにしています。