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郵便不正事件:村木元局長の起訴自戒 最高検、検証報告書

第3回検察の在り方検討会議に臨む委員ら。奥右から2人目は座長の千葉景子前法相=法務省で2010年12月24日午後1時33分、森田剛史撮影
第3回検察の在り方検討会議に臨む委員ら。奥右から2人目は座長の千葉景子前法相=法務省で2010年12月24日午後1時33分、森田剛史撮影

 最高検は24日、村木厚子・厚生労働省元局長の無罪が確定した郵便不正事件の捜査・公判の検証結果報告書を法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」に提出した。消極証拠だったフロッピーディスク(FD)を軽視して村木元局長を逮捕、起訴したと自戒。大阪地検特捜部が「元局長逮捕」を目的として捜査を進め、消極証拠が上級庁に報告されなかったと認定した。再発防止策には▽特捜部に取り調べの録音、録画(可視化)を導入▽高検検事長が特捜部を指揮し、主任検事は地検と高検に全ての証拠とその問題点を報告する--などが盛り込まれた。

 最高検の報告書は、大阪地検特捜部元主任検事、前田恒彦被告(43)=証拠隠滅罪で起訴=が改ざんしたとされるFDが、特捜部の想定と整合していなかったことが極めて重要と指摘。村木元局長の指示の有無に直接かかわる問題とし、動機とされた「議員案件」の検討が不十分だったことなどから、「証拠上の問題点を解決しないまま、局長を起訴するという判断をすべきではなかった」と批判した。

 また、事件の公判で供述調書の証拠採用が却下されたことに触れ「相当とは言い難い誘導で、客観的証拠と整合しない調書が作成された疑いがある」と指摘。当時の大阪地検特捜部長だった大坪弘道被告(57)=犯人隠避罪で起訴=が前田被告に対し「何とか村木元局長までやりたい」「これが君に与えられたミッションだからな」と発言したことで、前田被告は村木元局長の検挙を必ず達成しなければならないと感じたと指摘した。証拠改ざん判明後も、徹底した調査があれば「公訴を取り消すことも検討できた」と結論づけた。

 一方、再発防止策については上級庁による特捜部の指揮・指導の強化を念頭に、来年2月から高検検事長が特捜部の独自捜査事件を指揮することを義務づけ、最高検・高検に特捜係検事を配置するとした。また事件の主任検事は高検に全ての証拠書類や主要な証拠物のコピーを提出し、証拠上の問題点を報告することを義務づけた。さらに公判対策として、容疑者の身柄が拘束される事件に関し、来年2月ごろまでに容疑者の取り調べの録音・録画の方針を策定し試行を開始するとした。

 他の再発防止策は▽来年4月から押収した電磁的記録媒体のコピーを作成して原本を封印し、データの解析はコピーを利用する▽取り調べメモの保管・管理の在り方について来年3月までに結論を出すよう検討する--などを挙げている。

毎日新聞 2010年12月24日 14時39分(最終更新 12月24日 14時48分)

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