「川柳でみる２０１０年」

　今年もあと１週間ほど。月日の経つのは早いもの。世の大波小波をさらりとつまみ出す川柳で、まずは今年前半の一端を振り返る。

　▼１月は、民主党党首の鳩山由紀夫さんが首相だった。鳩山さんは「深窓のおぼっちゃま」と評された人。理想が上滑りし、世間では頼りなく映った。だから《宰相でなけりゃほのぼのいい感じ　迫田秀夫》というぼやきも出るというもの。

　▼３月。《青空を　大きく吸い込む　菅家さん　つとむ》。女児が殺害された事件で、無期懲役刑で服役中に釈放された菅家利和さんに、裁判所が無罪判決を言い渡した。無実の罪で17年半も獄中にあった菅家さん。頭上には、青い青い空が広がったのである。

　▼４月。《偉そうに沖縄論じる自民党　白井幸男》。鳩山首相は、沖縄の普天間基地の移転問題で「県外移転」の断念を表明した。沖縄の人々は期待を寄せていただけに大きな失望が広がったのも無理はない。これに乗じて自民党は政府の失政をあおり立てたが、もともと基地は自民党政権の置き土産だ。

　▼６月。《１年で首相交代区長並み　野口こうし》。普天間移設問題などで、にっちもさっちもいかなくなった鳩山首相が政権を投げ出し、新しく菅直人首相が誕生した。

　▼鳩山さんが首相になったのは昨年の９月。あまりにもはかない短命内閣。外国のメディアもあきれ返っていた。交代した菅内閣だが、消費税発言で支持率低下。波乱を呼びそうな参院選が公示された。（香）

(2010年12月24日更新)

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