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[25070] 【習作・処女作】「草抜き部」【オリジナル・部活モノ】
Name: シノギ◆161a2081 ID:0506cf29
Date: 2010/12/27 00:23
 青木修哉、現在十五歳。童顔で小柄で華奢な体型と少し日焼け気味の肌が特徴的。学力は下の中といったところで、運動神経の方は中の下といった中途半端なところ。趣味は野球、漫画、インターネット、アニメなど。
 修哉にとって野球は自分の人生を語るのに必要不可欠なものと言えるのであった。
小学校のころから野球漬けの日々を送り、中学でも当然野球部に入った。
 恐い先輩もいたが、毎日野球ができてそれなりに充実した中学校生活を送った。そんな根っからの野球好きであった修哉は、高校野球には憧れを抱いていた。甲子園という華やかしい舞台こそ彼の夢なのであったのだが、修哉の進学した高校には野球部がなかったのである。
 野球バカの体育会系(自称)の修哉は学力もなく、進学できる高校はかなり絞られた。
 その絞られた高校が運悪く全て野球部がない高校であった。
 野球の実力も大したことないため、スポーツ推薦も取れず、修哉は昨年の野球部の引退後、必死になって受験勉強をしようとした。
 しかし、勉強も続かず、すぐに引退したはずの野球部の練習に参加していたのだ。
 当然彼が受験した本命の高校には落ち、滑り止めの桜が丘高校に入学し、現在に至る。
 桜が丘高校は偏差値がかなり低く、評判も県内でワースト1位と言っても過言ではない。
 修哉が入学してから数日が立ち、学校の雰囲気を素直にこう思った。
「この学校、8割は馬鹿な不良と馬鹿なオタクと変態を占めてるじゃん……」
 心の中でそう感じていた。
「ったく、俺のクラスどうなっとるんすか? 男は見るからにオタクがヤンキーになってしまったかのような痛い奴ばっかじゃしー、女子ときたら閣下と志村けんみたいなケバイ奴らが半分を占めている始末、そういえば呪怨なんかにもいたかな。なんだっけあれ」
「先生に言わずに直接クラスの中で言ってやれよ。なんだ? 友達いねぇのか? 友達いねぇーんだろ」
 放課後の職員室で自分のクラスの陰口を叩く修哉にそれを聞きながら机で仕事をしている中年の担任教師の羽田がいた。
「青木もさぁ、入学式以降ずっとジャージで学校来てるじゃん。しかも学校指定のジャージじゃないし、生徒指導でおまえが指導対象になってるんで?」
 修哉は学校でも家でも常にジャージ着用して過ごしていた。理由は学校指定の制服とジャージは、デザインが気に入らないからである。そのため常に青いジャージ姿でいる修哉をクラスでは青ジャージというあだ名で定着していた。
「まあ、そんなことはどーでもいいんですよ」
「良くねーよ! 制服着て出直して来いやコラァ!」
 憤る羽田に対し無視して会話を進める修哉。
「野球部の件なんですけど、上手くいきそうですか?」

 修哉が入学する前の三月。高校に合格通知が来た後、学校に単身で乗り込んで、野球部を設立したいと学校に何度も掛け合っていた。教頭には「前向きに考えて置きます」と適当にあしらわれるが、正式に認められるまで懲りずに学校と交渉していた。羽田は修哉のその行動力は高く評価している。

「あぁ、校長に話つけてやったが無理だったわ」
それもそうである。桜が丘高校のグラウンドはハンドボールコートとテニスコートが縦に並んだ細長いグラウンドであった。とても野球のできる環境ではないのだ。
「諦めてハンドボール部に入れ、ハンドボール部はいいぞー、今だったら漏れなく男子1人女子19人のハーレム状態になれるぞ、青春時代をギャルゲみたいに過ごせるんだぜ?」
 ハンドボール部の顧問である羽田は修哉を勧誘したが修哉は「興味ない」の一言で返された。おまえの青春は野球しかないのか、残念な奴だなと思う羽田。
「野球ができれば同好会でも『私は一向に構わん!』すけどね。」
前回、羽田と話したとき修哉は「放課後、適当な暇そうな奴らとグラウンドの隅っこでキャッチボールしたりとかー、軟式だったら危なくないし、ハンド部の邪魔にならないようにするからさー」と言っていた
「同好会もダメだって言われたが、野球ができるいい部活なら作れそうだぞ」
「ちょ、マジッすか先生! カッコイイ、先生カッコイイよ!」
 野球ができると聞いた瞬間、修哉の目が子供のように輝いた。そのとき、机で作業をしていた羽田は手を止めて、椅子の向きを机の正面から修哉の方に向け、口を開きこう言った。
「青木、草抜きをしろ」
「はぁ?」
 修哉は、と羽田の言動にさっぱり理解できなかった。
――何言ってんだこのおっさん、頭が狂ったのか? その歳で痴呆? 俺は野球がしたいって言ったよね? 馬鹿なの?死ぬの? なんだ草抜きって? 何それおいしいの?
「先生、訳解りません……脳みそ腐っちゃったんすか」
 突然、意味のわからない事を発した羽田に修哉は『もう駄目だボケ老人……』といったような冷たい視線を送った。
「腐ってない! おまえが腐れ、全身腐れ……まぁ聞け、ただ意味もなく草抜きをしろってことではなく、校庭の草抜きをすることを条件にハンドボール部の部活が終わった後にコートの全面で野球ができるって訳だ。毎日草抜きを続けることでいろんな先生からの評判もよくなるし、野球同好会として認められる可能性もあるぞ。上手くいったら部になって公式戦にも出られるかもしれないし、どうよ? 草抜き部」
「腐ってたまるか! おまえが腐れ、消費期限切れろ!」と言った後、頷きながら羽田の話を聞いていた修哉は。
「先生、僕草抜き部作ります!」
 羽田の手を両手でガシッと握って即答で返事を返した修哉の目はキラキラ輝いており、とても嬉しそうであった。
「いやぁ、草抜き部なんて、なかなか洒落た部活じゃないっすか」
「だろ? ちなみにわしがハンド部と掛け持ちで顧問になったから、部室も誰も使ってない男子ハンド部のを使っていいぞ」
 こうして、草抜き部は誕生したのであった。










――――
初投稿で処女作になります。
この物語は高校時代の自分がやってた部活をちょっと着色した物語です。
とりあえず反応待ち


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