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早期大腸がんを尿検査で発見 従来の方法より高感度

2010年12月8日

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 尿検査でがんを見つける方法を、東京都臨床医学総合研究所とバイオベンチャーのトランスジェニック(本社・熊本市)などの研究グループが開発した。早期の大腸がんで6割以上の高率で見分けることができた。血中のたんぱく質をはかる従来の検査に比べて感度が高く、体への負担もないという。すでに特許を取得し、国内のメーカーと共同でがん検診用キットを開発している。

 同研究所の川喜田正夫博士らのグループが開発したのは、尿に含まれる化合物「ジアセチルスペルミン」の量を抗体検査で調べる方法。この化合物は細胞の増殖に関係している。増殖する細胞で分泌されると、血液中をめぐって尿と一緒に排出される。がん細胞は増殖能力が高いため、体内にあると尿にこの化合物がより多く含まれるということは知られていた。

 研究グループは、マウスの免疫細胞からこの化合物を特異的にとらえる抗体を作り出すことに成功。この抗体を使って尿にある化合物の量を調べ、早期がんでも見分けられることをがん患者で確かめた。

 その結果、大腸がんでは248人中75.8%をがんと判別。粘膜や大腸壁にとどまる早期の段階でも6割以上のがんを見分けられた。国内のがんによる死者の中で大腸がんは女性で最も多く、男性は3番目に多い。大腸がん検査は、便の中に血が混じっていないか、血液中のたんぱく質「CEA」の量を調べ、さらに内視鏡で確認する。しかし、CEA検査はがんが進行しないと見分けにくく、早期がんを見分けるのが難しかった。この検査方法は乳がんなどにも使えることがわかっている。今後、ほかの早期がんの検査に使えるかどうかを調べる。がんの治療後の経過観察や再発の有無などを確かめる検査にも使える。

 川喜田さんは「ジアセチルスペルミンはどんながんでも尿中で増える。検査値が高いのに内視鏡検査で大腸がんが見つからない場合は、ほかの臓器にがんがある可能性がある。そうした検査への応用もできるだろう」と話す(坪谷英紀)

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