京の企業、電子書籍普及に熱
電子書籍端末が相次いで発売される中、京都企業が電子書籍の普及に向けた取り組みを始めた。大日本スクリーン製造は、異なる字体を相互運用できる技術を普及させる協議会に参加。京セラのグループ会社は慶応大と電子書籍の配信実験を始める。
■スクリーン、字体で新技術探る
大日本スクリーンは6日、ソフトウエア開発のマイクロソフト(東京都)、フォント販売のモリサワ(大阪市)など5社と「IVS技術促進協議会」を発足させた。
IVSは、メールや記録媒体による情報の伝送や表示・印刷でまったく同じ字体を保証する仕組み。住民基本台帳や戸籍には入力、表示できない異体字があるが、IVSが実装されればデータ交換ができ、電子書籍や電子政府システムの普及につながる、という。
世界共通の文字コード「ユニコード」にIVSの異体字コードが登録されたのは約1年前で、協議会はIVSの実装に向け普及促進を図る。用途別に整備されていく異体字コード表同士で類似の字体があった場合の相関付け、IVSを実装する際の検証ツールの制作も検討する。
大日本スクリーンはフォント開発や印刷機器製造などの立場から「日本の文字文化の発展に貢献したい」(ソフトウエア商品開発部フォント課)とする。
■京セラ、学術書配信実験へ
京セラグループで、デジタルコンテンツの配信基盤などを提供する京セラコミュニケーションシステム(京都市伏見区)、図書館システム開発の京セラ丸善システムインテグレーション(東京都)は慶応大と共同で15日から、電子学術書の配信実験をする。
両社は学術出版社から書籍データを受け取った後、さまざまなフォーマットで読めるように加工して配信サーバーに送る。教職員や学生は自身のパソコンや携帯端末、電子ぺーパー端末を使い、配信サーバーから学術書を読む。実験は2012年3月末までで、既刊と新刊の計2千冊の電子書籍化を目指している。この間、端末ごとに使い勝手を評価し、改善点を探る。学習利用に適した機能、コンテンツの利用や複製を制限する技術なども検討、評価する予定。
【 2010年12月14日 09時02分 】
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