年金国庫負担は維持の公算、国債「44兆円以下」達成に向け財源厳しさ増す

2010年 12月 3日 17:13 JST
 

 [東京 3日 ロイター] 2011年度予算編成で焦点の基礎年金国庫負担割合は、現行の2分の1を維持する公算が強まってきた。必要な財源2.5兆円には「埋蔵金」を充てるが、他の歳出項目の財源探しは一段と厳しさを増すことは避けられない。

 政府は6月に閣議決定した財政運営戦略で、2011年度の新規国債発行額について「約44兆円以下」とすることを決定している。年金国庫負担割合を2分の1に維持するために埋蔵金を活用することになれば、他の歳出項目の財源にしわ寄せがいくのは必至だ。国債発行枠の達成が懸念されるが、ある財務省関係者は「最初の予算編成でも守れないとなれば、今後何もできないということになる」(財務省関係者)とし、日本に対する信認の失墜にもなりかねないと危機感をあらわにする。

 野田佳彦財務相も3日の会見で、来年度予算編成では「(財政運営戦略で決めた)歳出枠を71兆円に抑え44兆円以上国債を発行しないというなかで、各省とギリギリ交渉してく」とし、国債発行上限枠の達成にあらためて強い決意を表明した。 

 <国庫負担割合下げでは制度の信頼損ねる、ねじれ国会での政治的判断も影響>  

 基礎年金の国庫負担割合の問題をめぐっては、財務省が36.5%への引き下げを提案していたが、年金制度への信頼を失いかねないとする民主党・厚生労働省の判断に傾いてきた。民主党は2日の拡大政調役員会で政府に「2分の1維持」を提言する方針を確認。ねじれ国会では、引き下げる場合に必要となる年金関連法の改正に、自民、公明両党など野党の理解が得られないとの政治判断も働いた。 

 野党からも「民主党は100年安心プランとした04年の年金改革をことごとく批判した。その民主党政権が財源として禁じ手の、年金特別会計の積立金を取り崩して対応するのでは矛盾だ」など批判が出ており、国会を乗り切れないと判断したもよう。 

 <税制抜本改革先送りのツケが表面化>

 引き上げに必要な2.5兆円の財源は「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の剰余金(約1.5兆円)や財政投融資特別会計の積立金・剰余金などを軸に検討されている。しかし、仮に今回、埋蔵金で2分の1の壁を乗り越えることができても、税制抜本改革の見通しが立たなければ、来年度また同じことが繰り返される。野田財務相は引き下げ案を明らかにした30日の会見でも、2011年度限りの引き下げではなく「11年度以降」と述べ、財源難の長期化を示唆した。  

 政府内では今回の迷走は「税制抜本改革を先送りしてきたことのツケが表面化しただけ」(政府筋)と冷ややかな声も聞かれる。税制抜本改革が避けられない状況を映し出したが、消費税増税論議は、参院選の敗北で、菅政権下で議論は全く進展せず、事実上「封印」されてしまった。民主党の「税と社会保障の抜本改革調査会(会長:藤井裕久元財務相)」が近々予定している提言でも、一刻も早い消費税を含む抜本改革の議論の開始を求める程度で具体性は乏しく、ツケの先送りの出口はみえてこない。

 (ロイターニュース 吉川 裕子記者)

 

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