北陸の経済ニュース 【12月10日03時08分更新】

国債、ゆうちょ争奪戦 北陸の金融機関
 個人向け国債と、ゆうちょ銀行の定額貯金が今年度と来年度に大量に償還、満期を迎え ることから、北陸の金融機関が争奪戦を繰り広げている。満期資金は合計13兆円以上( 全国ベース)となり、北陸の金融機関が保険、投資信託などの新商品を相次いで投入。利 用客の安全志向に対応し、低リスクの商品が「受け皿」として目立っている。

 日銀金沢支店によると、2006年に発行が始まった5年物の個人向け国債は来年1月 15日で満期を迎え、償還予定額は1兆1284億円に上る。一方、ゆうちょ銀行北陸エ リア本部によると、今年度中に満期を迎える定額貯金は約12兆円。来年4月以降の2年 分の11兆6千億円を上回る金額が3月末までに発生する。いずれも全国ベースの数字だ が、北陸でも大量の満期資金が動くとみられている。

 今月に入り、北國、富山第一、福井の3行は一時払終身保険の取り扱いを開始した。

 「大きなビジネスチャンス」とする北國銀行は保険だけでなく投信も充実。8月に販売 を始めた「Jボンド」は国内の債券に投資し為替リスクがないのが特徴で、人気を集めて いる。また、為替変動の影響を抑えて海外の国債に投資し、日本国債以上の利回りを目指 す毎月分配型の「円インカム・セレクト」を今月1日に投入し、同行は「国債、郵貯で運 用されてきた資金はもともと安全志向が強い資金であり、低リスク商品の充実が取り込み の鍵を握る」(営業統括部)とする。

 北陸銀行は一時払終身保険の新商品を検討中で、来年1月か2月にも投入したい考えだ 。同行は「長い期間を経て満期、償還を迎えた資金を持つ客はそれだけ年配の人が多く、 相続税対策など運用以外のニーズが強い」(支店部)とみる。投信では10月に始めた「 Jボンド」、豪ドル建ての信用度の高い債券を投資対象とする「夢実月」が「いずれも高 い人気」という。

 富山第一銀行も「低リスク商品を充実させたい」とし、福井銀行は今月から変額個人年 金保険を2種類に増やしている。

 満期を迎えた国債、貯金の資金は、再び国債に投資されたり、貯金に預け替えられたり する場合もあるが、「金利水準が低いだけに保険や投信に流出する可能性はある」とみる 金融関係者は多い。

 事業性融資が伸び悩む中、保険、投信の販売手数料は金融機関にとって重要な収入源と なるだけに、商品群の拡充を競う動きが強まりそうだ。


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