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11年度予算:一般会計93兆円程度 税収は低調、埋蔵金上積み焦点

 政府は9日の予算編成閣僚委員会で、11年度予算の大枠を固めた。新規国債発行額を10年度並みに、国債の償還、利払い費(国債費)を除く歳出を約71兆円以下にそれぞれ抑制。予算規模を示す一般会計総額は、93兆円程度になる見通しだ。だが、税収はなお、低水準にとどまりそうで、国債と税収だけでは歳出を賄えないのは確実。特別会計の「埋蔵金」などの税外収入をどれだけ積み上げられるかが、予算編成最終盤の焦点になる。【坂井隆之】

 11年度税収は企業業績の回復などで、10年度の37・4兆円から41兆~42兆円程度に増加する見通し。それでも国債と合わせた歳入は85兆~86兆円程度に過ぎず、歳出との差額7兆~8兆円は、税外収入で埋めるしかない状況となっている。

 だが、税外収入の確保も簡単ではない。10年度に積立金・剰余金合わせて4・8兆円の埋蔵金を取り崩した財政投融資特別会計の11年度の「発掘可能額」は、積立金の枯渇で約1兆円にとどまる。桜井充副財務相は9日の会見で、「確定している税外収入は4・1兆円程度」として、必要額を大幅に下回っていることを明らかにした。

 上積みに向けて期待が寄せられるのが、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の利益剰余金(最大1・5兆円)だ。財務省は、所管官庁の国土交通省に剰余金の国庫への返納を求め交渉を続けている。しかし、毎年のように積立金・剰余金頼みの予算編成を繰り返してきた結果、「埋蔵金はほとんど掘り尽くしてしまった」(財務省幹部)状態。

 菅直人首相は閣僚委で「元気のいい日本に立て直す。そのきっかけになるよう予算編成に当たってほしい」と指示したが、そのような予算を組むためにも安定財源の確保による埋蔵金頼みからの脱却が求められている。

毎日新聞 2010年12月10日 東京朝刊

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