【ニューヨーク】16日の外国為替市場では、欧州連合(EU)首脳会議の詳細が明らかになるのをトレーダーらが待ち構える中、ユーロはドルに対して小幅反発した。同会議では、ユーロ圏の債務危機に対する恒久的な解決策の早期妥結が示唆される可能性がある。
ブリュッセルを訪れているドイツの政府筋はダウ・ジョーンズ経済通信に対し、EU首脳は、2013年半ば以降に施行する恒久的な安定メカニズムの創設に向け、EUの基本条約「リスボン条約」の改正で原則合意したと語った。同メカニズムにより、加盟国政府は危機に直面した際にユーロを守ることができる。EU首脳会議は、ムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペイン国債の格付けを引き下げ方向で見直すと警告した翌日の16日から2日間の日程で開かれている。
緊張が高まる市場は、ユーロ圏の各国政府に単一通貨ユーロを揺るがす構造的欠陥に対処すべく積極的な措置を講じていく意思があることが明確になるよう期待している。
「市場にとっては重大なことだが、実際にどのような合意がなされるのかは定かではない。いまだ未決定なのは、安定・成長協定の基準を満たすことができない、あるいは、その意思がないユーロ圏加盟国に対してどのような処置を下すかという点だ」とバンク・オブ・ニューヨーク・メロンのシニア為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は述べた。
金融政策に加え、議会で審議中の減税延長による財政刺激効果が相まって、米経済は巡航速度に向かうと投資家が期待する中、ここ数日は堅調な米国経済指標がドルを下支えしてきた。
米フィラデルフィア地区連銀が発表した12月の景況指数は24.3と、11月の22.5から上昇するとともに、市場予想を上回った。また、米労働省が発表した12月11日までの週の失業保険新規申請件数は予想外に減少し、低迷する労働市場に薄日が差しつつあることを示唆した。
16日に発表された経済指標は、明らかに強弱感が交錯していた。米国11月の住宅着工件数は予想を下回り、米国7-9月期の経常赤字は拡大した。しかし、より楽観的な指標が発表されたことで、米経済は経済成長が拡大するとの期待が高まった。
欧州の経済指標は比較的好調だったものの、市場はなお世界中を混乱に陥れている債務危機に神経をとがらせている。こうした警戒感は、16日に実施されたスペイン国債の入札に表れた。長期債の発行予定額は通常の規模を下回る20億ユーロ〜30億ユーロとされたが、投資家はこれまでをはるかに上回る高利回りを要求した。
NY市場終値 16日16時50分 (15日17時50分)
ドル 84円00-04銭 (84円30-34銭)
ユーロ 1.3236-41ドル (1.3218-22ドル)
英ポンド 1.5630-35ドル (1.5546-51ドル)
スイスフラン 0.9645-50フラン (0.9668-82フラン)
ユーロ 111円21-27銭 (111円45-50銭)
豪ドル 83円11-19銭 (83円10-22銭)
英ポンド 131円25-45銭 (131円07-15銭)
カナダドル 83円47-57銭 (83円06-10銭)
NZドル 61円94-26銭 (62円34-40銭)
(ダウ・ジョーンズ)