政府は24日夕の臨時閣議で2011年度予算案を決定した。新成長戦略と雇用対策のための予算措置に力点を置き、一般会計総額は10年度当初予算比1124億円増の92兆4116億円と過去最大に膨らんだ。歳入面では税収が3兆5310億円増の40兆9270億円に回復したが、新規国債発行額はわずか50億円減の44兆2980億円と高止まり。借金依存の財政運営から抜け出せていない。
政府は11年度予算案と歳入確保などに必要な予算関連法案を年明けの通常国会に提出する。衆参の多数派が異なるため、関連法案成立のメドは立っていない。
歳出で目立つのは社会保障関係費だ。高齢化による自然増などで1兆4393億円増の28兆7079億円と過去最高を更新。一般会計歳出の3割を超えた。基礎年金の国庫負担割合は、埋蔵金を使って2分の1を維持する。11年度限りの財源が多く12年度以降も2分の1を維持するには税制抜本改革が不可欠だ。
マニフェスト(政権公約)関連では子ども手当を3歳未満に限り月2万円に増額するほか、農家の戸別所得補償制度を畑作にも拡大する。地方の使い道を広げる地域自主戦略交付金も創設し、5120億円計上した。新成長戦略関係では、法人実効税率の5%引き下げが目玉。最終的に2兆1000億円とした「日本復活特別枠」には港湾整備や電気自動車導入促進のための予算を盛り込んだ。
歳入では決算を含めて3年続けて国債が税収を上回る異例の財政状況だ。税外収入は3兆4136億円減の7兆1866億円。財政投融資、外国為替資金の両特会や鉄道建設・運輸施設整備支援機構の剰余金をかき集めた。特例法案の成立が必要な赤字国債や税外収入をあわせると40兆円を超え、歳入全体の44%を占める。
政府は南欧の財政危機を受けて財政健全化の枠組みを策定したが、11年度予算で進展したとは言い難い。71兆円の上限を設けた政策的な経費は70兆8625億円に抑えるなど目標はギリギリ守ったが、20年度黒字化を目指す基礎的財政収支は22兆7489億円の赤字だ。
事業仕分け第3弾による歳出削減額は約3000億円どまり。今後、社会保障費が年1兆円以上増え続ける中で、歳出削減や成長による増収だけでこの赤字を解消するのは限界がある。基礎収支のが赤字の間は債務残高が膨らみ続ける。11年度末の国と地方をあわせた長期債務残高は891兆円と国内総生産(GDP)の1.8倍に達する。先進国で最悪の財政状況から抜け出すには、税と社会保障の一体改革を早急に進める必要がある。
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