搬送困難例を解消するため、東京都は昨年8月末、救急隊が受け入れ先の2次救急医療機関を見つけるまで20分以上かかるか、5カ所以上断られた場合を「選定困難事案」とし、地域ごとに指定した病院が患者の受け入れを調整したり、自ら受け入れに努める「東京ルール」を導入した。
都によると「選定困難」に該当したのは今年10月末までの1年2カ月間で1万4105件に上り、うち精神疾患や薬物中毒(大半は過量服薬による自殺未遂)が理由になったケースは1766件で全体の1割を超えた。
東京消防庁の担当者は「東京ルールで改善された面もあるが、合併症になった精神障害者の搬送が最も難しい状況は変わっていない」と話す。精神疾患患者の多くは暴れたりせず、救急隊は総合病院や大学病院でも受け入れが可能とみている。
一方、総合病院と大学病院の精神科病床は一般診療科より診療報酬が低く病院経営を圧迫するため、全国で年々削減されている。02年に2万1732床(272施設)あったのが07年には1万9103床(248施設)と12%減った。
毎日新聞 2010年12月26日 2時36分