2010年10月27日 11時19分 更新:10月27日 11時24分
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)による事業仕分け第3弾で、国の特別会計(特会)を対象にした前半日程が27日午前、東京・池袋のサンシャインシティ文化会館で始まった。30日までの4日間で、全18特会の計51勘定の存在意義や、特会で行われている48事業の必要性を精査し、統廃合を含めた特会改革につなげる方針だ。【青木純】
蓮舫行政刷新担当相は開会式で「まずは情報をフルオープンにする。特会の中で何が行われ、無駄、税金の浪費はないのか。政官業の癒着が制度の裏にあったかもしれない。そのことも議論いただきたい」と呼びかけた。
仕分けは国会議員の仕分け人13人と民間有識者の仕分け人29人の計42人が2班に分かれて実施。27日は、戦争や輸出規制などで民間企業が被る貿易関係の被害を補償する「貿易再保険特会」(経済産業省所管)と、漁船保険団体の支払い上限を超えた漁船事故の損害に国が再保険金を支払うなどする「漁業再保険及び漁業共済保険特会」(農林水産省)でスタートした。
貿易特会では、企業向けの窓口業務が経産省OBの再就職先となっている独立行政法人「日本貿易保険」に任されていることなどが問題視された。漁船特会は事故や外国による漁船拿捕(だほ)、抑留に伴う被害を補償するために五つの「勘定」に分けられているが、仕分け人が「積立金を融通したりできないのか」と問題提起。筒井信隆副農相は「(一部の)勘定の統合を検討することは結構だ」と応じた。
午後には雇用対策事業などを行っている「労働保険特会」(厚生労働省)、コメ備蓄や農地集積などのための「食料安定供給特会」(農水省)などが取り上げられる。
特会は年金給付などの財源を一般会計と分離する仕組みで、18特会の歳出は重複を除いて約176兆円。制度が複雑でチェックが不十分になり、無駄の温床とされてきた。仕分けでは、一般会計と分離する必要性などを検証し、一般会計に統合することも視野に入れる。48事業については、重複や効率性を精査する。
◇仕分け対象の18特別会計と主な事業
●1日目(27日)
▽貿易再保険特会
▽労働保険特会
・ジョブカード制度普及促進事業など
▽漁船再保険及び漁業共済保険特会
▽農業共済再保険特会
▽食料安定供給特会
・農地保有合理化促進など
●2日目(28日)
▽年金特会
・日本年金機構運営費交付金など
▽国債整理基金特会
▽社会資本整備事業特会
・スーパー堤防、治水、道路整備など
●3日目(29日)
▽エネルギー対策特会
・住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金など
▽特許特会
・特許電子図書館など
▽交付税及び譲与税配付金特会
▽森林保険特会
▽登記特会
・登記情報提供システムの維持管理
●4日目(30日)
▽地震再保険特会
▽外国為替資金特会
▽財政投融資特会
▽国有林野事業特会
▽自動車安全特会
・自動車検査独立行政法人など