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「子供を助けて」泣き叫ぶ女性、冷たい水に救助難航ワゴン車が転落した県道横の池(左上)。右下がガソリンスタンド、上が福岡市方面(25日午前10時7分、福岡県太宰府市で、本社ヘリから)=林陽一撮影
池に転落し、大破したワゴン車(25日、福岡県筑紫野市の筑紫野署で)
クリスマスイブに若者たちを乗せた車に何が起きたのか――。24日深夜、福岡県太宰府市の県道脇の池にワゴン車が転落した事故は、高校生を含む6人が死亡、6か月の男児1人が意識不明の重体となる大惨事となった。「助けて」「119番を」。救助を求める声が響いた現場では、車が衝突した県道脇のガードパイプが約15メートルにわたってなぎたおされていた。 「泣き叫びながら子どもの名前を呼ぶ女性の声が忘れられない」 県道脇にある池付近から救助の様子を見守った近所の女性(23)は25日朝、前夜の事故を振り返った。 池の水面には、沈んだ車からもれたとみられる油や靴も浮かんでいた。 「人が落ちた」 現場近くのガソリンスタンドで洗車していた大学生今井勢也さん(21)が、乗用車をスタンド内に急停車させ、大声で叫ぶ男性に気づいたのは24日午後11時40分過ぎ。男性はワゴン車と衝突した乗用車に乗っていた同県太宰府市青葉台、アルバイト 事故の約10分後には、筑紫野消防署の救助隊員が到着した。 救急救助係の本田豊章係長(37)と浦下和久主任(36)によると、水は冷たく、濁っていて車もほとんど見えなかった。 車は道路から5〜6メートル先の池の底に沈んでいたため、車を道路側に引き寄せた後、隊員が池に入ったという。 ライトで照らしても水中は濁って見えず、手探り状態だった。 エアバッグが開いており、ハッチバックドアと後部座席のドアから救助を開始。浦下主任の手に、意識不明の重体になっている山本悠斗ちゃん(6か月)の頭の感触が伝わったのは約1時間後だった。すぐに引き出したが、呼吸は確認できなかったという。 その後4人を救助。事故による外傷は見当たらなかったが、すでに意識はなかった。次々にロープで引き出され、毛布でくるんだ。 「これまでで一番冷たい水中での救助作業だった」と浦下主任は声を落とした。 (2010年12月25日 読売新聞)
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