2010年10月26日 20時39分 更新:10月27日 0時22分
東京証券取引所の斉藤惇社長は26日の会見で、10年度内の株式上場を断念する考えを明らかにした。株価低迷で主要な収入源の参加手数料が落ち込み、同日発表した10年9月中間連結決算が減収減益となり、11年3月期決算が3年連続の減収減益になる見通しとなったため。
斉藤社長は「3年連続の減収減益では、東証による上場審査を通らない。残念ながら、現実的に無理だ」と説明した。東証は国際的な取引所間の競争激化に対応するため、上場による資金調達でシステム投資を進めたい考え。当初は05年度の上場を目標に掲げていたが、システム障害などで数回にわたり断念しており、今後は11年度以降のできるだけ早期の上場を目指す。
一方、シンガポール取引所(SGX)によるオーストラリア証券取引所の買収計画については「強敵が現れることは大喜びする話ではない」と警戒感を表明。東証はSGXの約5%の株式を保有しており、「2番目の大株主だが何の相談もなかった」と不快感を示した。【田所柳子】