冬の天気:酷暑のち厳冬? ラニーニャ現象持続

2010年10月26日 10時50分 更新:10月26日 12時33分

紅葉が残る札幌市中心部で降った初雪=2010年10月26日午前8時34分、平田明浩撮影
紅葉が残る札幌市中心部で降った初雪=2010年10月26日午前8時34分、平田明浩撮影

 観測史上例のない猛暑に悩まされた今夏。残暑も長かった分だけ、秋が短く感じられそうだ。日本付近は26日、今シーズン初の冬型の気圧配置となり、夜にかけて気温がぐっと下がる見込み。札幌市では初雪も観測された。今年の冬は、どんな冬になる? 【飯田和樹、今井美津子】

 札幌市の朝の最低気温は1.4度と今季最低。10月に初雪を観測するのは04年以来、6年ぶりだ。

 気象庁が発表した最新の予報によると、今冬は「暖冬傾向だった最近10年間の中では、やや寒くなる見込み」。「エルニーニョ現象」と並んで異常気象の一因とされる「ラニーニャ現象」が発生していることが根拠という。

 東部太平洋赤道付近の海面水温が高くなるエルニーニョとは反対に、ラニーニャは同海域の海面水温が低くなる。その場合、東南アジア付近の海面水温が逆に高くなり、上昇気流が発生。そこから吹き出した空気の流れが中国付近で偏西風を北に押し上げる。その結果、日本付近では偏西風が南に蛇行し、冬型の気圧配置を強めると考えられている。

ラニーニャ現象発生時の大気の流れ
ラニーニャ現象発生時の大気の流れ

 気象庁気候情報課によると、過去のラニーニャ現象発生時の特徴として、日本付近は秋の前半は暖かい空気に覆われやすいが、晩秋から初冬にかけて寒気が南下しやすい傾向がある。

 ラニーニャが厳しい寒さを引き起こした最近の例に、大雪により152人の死者を出した05~06年の冬がある。05年の夏も全国的に気温が平年(71~00年の平均値)より高く、9~10月も気温の高い日が多かった。しかし、11月ごろから寒気がたびたび南下し、12月は全国的に低温に。特に日本海側は豪雪となり、除雪中の転落事故が相次いだり、山間部の集落が孤立したりした。

 気象庁気候情報課の前田修平予報官は「今年の海洋の状況は05年によく似ている」と話す。ただし、05年ほどの厳しい寒さに見舞われるかどうかについては慎重だ。「05年はラニーニャとは別に『北極振動』という現象も同時に起き、北極地方から日本などの中緯度帯に寒気が流れ込みやすくなっていた。これは海洋の状態とは違って間近にならないと分からず、現段階で予想は難しい」と話す。

 一方、長期的に見ると1980年代半ば以降、平均気温が平年を下回った冬(12月~翌年2月)は数えるほどしかなく、過去20年以上暖冬傾向が続いているといえる。このため前田予報官は「平年並みの寒さになっただけで、今年の冬は寒いと感じる人が多くなるかも」と指摘する。

 酷暑に続く厳冬は勘弁願いたいが、寒さに期待する声もある。

 家電量販店「ビックカメラ」の広報・IR部の堤英憲課長は「2~3日寒い日が続くと、電気カーペットなどの暖房器具がよく売れる。鍋料理用の調理家電の売れ行きなども期待でき、わたしたちにとって寒くなるのは悪いニュースではない」。

 日本百貨店協会も「百貨店業界の売り上げに占める衣料品の割合は3割以上。特にコートなどが売れる冬は稼ぎ時だ。過去、非常に寒い年には、コートの在庫が不足する事態になったこともあり、寒い冬を期待している」と話す。

 26日からの冬型の気圧配置は、そう長くは続かない見込みだが、東京でも11月下旬並みの寒さになりそうだ。木枯らし1号が吹く可能性もあるという。

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