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【主張】新高齢者医療制度 こんな案なら白紙に戻せ

2010.12.22 03:34
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 厚生労働省の有識者会議が後期高齢者医療制度に代わる新制度の最終案をまとめた。

 現行制度の廃止ありきで、「平成25年度から新制度スタート」という民主党の政権公約にとらわれたため、最終案では同年齢で保険料を払う人と払わない人が生じるなど新たな不公平が生じた。消費税増税を封印したため安定財源の道筋も見えない。

 全国知事会や野党などの反対で法案成立のめども立っていない。高齢者が加入する制度がバラバラで、全体の負担の構図も把握できない。こんな案なら白紙に戻し、菅直人政権は現行制度の改善と充実にかじを切るべきだ。

 75歳で一律区分した現行制度に批判が集まったことから、最終案は年齢の線引きをやめた。8割を国民健康保険(国保)に戻し、勤め続けている人や扶養家族は健康保険組合などに移す。

 だが、国保は75歳以上を別勘定とし、高齢者保険料を1割相当とする現行制度と同様の仕組みにする。結局は年齢区分が残り、看板の掛け替えにすぎない。

 子供が会社員の場合、その扶養家族になれば保険料を免除されるが、身寄りのない高齢者は保険料を支払わなければならない。これで国民の理解が得られるのか。

 さらに問題なのが、負担の在り方だ。高齢者の保険料を急増させないようにその伸び率を現役世代を下回るよう調整する。収入の多い健保組合や共済組合ほど、支援金を多く拠出する仕組みが導入された。「取りやすいところから取る」との発想である。消費税引き上げによる安定財源の確保に目を背け、現役世代にツケを回すことは許されまい。

 75歳以上は今後さらに増える。世代間の負担に著しい偏りがある制度では長続きしない。新制度案では低所得者を対象とした保険料軽減措置の縮小も盛り込まれたが、高齢者にも支払い能力に応じた負担を求める必要があろう。

 民主党から、統一地方選への影響を懸念して新制度案の利用者負担増を批判する声が相次いでいるのもおかしな話だ。そもそも現行制度の見直しは民主党が言い出した。無責任きわまりない。国民に負担への理解を求めることこそ、政権政党としての責務である。

 国民が安心できる制度にするために、菅政権は政権公約にこだわってはならないだろう。

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