今月18日、韓国の排他的経済水域で、中国漁船が韓国の警備艦と衝突した事件で、韓国海洋警察庁は、取り調べていた漁船の乗組員3人を不起訴にすることを決め、中国側に引き渡しました。韓国政府としては、早期の決着を図り、中国との対立を避けるねらいがあるものとみられます。
この事件は今月18日、朝鮮半島西側の韓国の排他的経済水域で、違法に操業していたおよそ50隻の中国漁船のうちの1隻が、韓国海洋警察庁の警備艦に体当たりして沈没し、中国人船長が死亡したほか、韓国側の警察官4人が別の漁船の乗組員に鉄パイプで殴られて大けがをしたものです。海洋警察庁は、漁船が警備艦に故意に衝突してきたとして、乗組員3人を公務執行妨害の疑いで取り調べてきましたが、事件への積極的な関与が認められなかったとして、3人を不起訴にすることを決め、25日に中国大使館に引き渡しました。この一方で、警察官にけがを負わせて逃走した別の漁船の乗組員については、中国側に処罰を求めていくとしています。今回の事件について、中国政府は、現場は両国の暫定的な水域であり、韓国側に取り締まる権利はないとして、損害賠償を求めるなど強硬姿勢を示していました。韓国政府としては、事件の発生から1週間で早期の決着を図ることで、この問題が外交問題に発展し中国との対立が深まるのを避けるねらいがあるものとみられます。