池田:石破さんは新生党に参加なさった?
石破:うん、そうですね。自民党が失った「真の保守」という物を「この人ならやってくれる!」と思っていましたから。(でも)今、小沢さんは何か言ってますか。「社民党を大事にしよう」「消費税を上げない」「自衛隊をISAF(国際治安支援部隊)に参加させる、国連に出せばそれでいい」とかね。そういう考え方は、もとの小沢さんが言っていたことと全然違う。「これをやりたい」っていう物が、そのときそのときで変わる。要は、自己保身という物であって。それに付き合ってる程、日本政治は暇じゃないよ、っていうのが、すごい真実味があります。
池田:うーん、手厳しいですね。2ヶ月くらい前の代表選挙のときに、私もニコニコ動画でお話したことがありました。今、石破さんがおっしゃったような90年代の小沢さんと今の小沢さんの違いが非常に気になったものですから、「(小沢さんの)『日本改造計画』の序文にある「グランドキャニオンの柵の話」ってのは、今でも同じ考えですか?」って聞いたら、間髪を入れずに「全く変わってない」って、おっしゃったんですよ。
石破:小沢さんは説明しないわけよ。小沢さんにとっては「ユナイテッド・ネーションズは世界政府なのだ」と。「世界政府であるからして、そこへ自衛隊を出すということは、もう日本国憲法第9条が禁ずるところの”国権の発動”ではないのだ」と、小沢さんの世界観は、そういう考え方なんですよ。
(でも、)そんな馬鹿なことがあるわけない。ユナイテッド・ネーションズは、飽くまでユナイテッド・ネーションズであって世界政府でも何でもない。国連がダメだって言ったら、どんなに日本のために必要であっても自衛隊を動かせない。「そんな考え方は間違いじゃないですか?」って、私はずーっと前から聞いてるんだけど、説明は一切ない。「分からないのはお前の志が低いか、お前の理解が足りないか、どっちかだ。説明する必要はない(バーン)」で終わり。てなことですよね。今回の政倫審だってそうでしょ。
池田:そうですよねー。
石破:裁判と倫理は違うでしょ。「裁判所で説明するんだから、国会で説明する必要はない」。それっておかしくないですか。裁判所と国会って別の物ですよ。仮に法に違反しなくても倫理が問われているのなら、ましてや裁判で「シロだ」って言う自信があるのなら、倫理的にも「シロだ」ってことを国会で説明したって、ちっともおかしくないじゃないですか。大体、政倫審作ったのって小沢さんでしょ。
池田:ほほぉ、そうなんですか?
石破:そうなんですよ。ロッキード事件のときに政倫審を作ったのは小沢さん。「自らが疑惑を持たれたと思ったときは、進んでそれを解明する義務を国会議員は負うのだ」という政治倫理綱領を決めたのは小沢さん。あなたでしょう、政倫審を作ったのは!疑惑を持たれたときは、進んで解明しなくてはならない、って決めたのはあなたでしょう。何でそれに反するようなことをして平気なんですかって(ことですよ)。何で誰も(そのことを)問わないのか。おかしいですよ。
池田:その程度のことができない民主党執行部の力のなさを、ある意味で小沢さんが試しているような感じも見ててしますけどね。
石破:菅さんがどうするか知りません。今ごろは役員会をやってるんじゃないですか。だからもう、「政治倫理審査会を開くまでもなく出ないというのであれば、国会議員の政治倫理にもとるものであって、そういう人は我が党にいてもらわなくて結構です」という決断が(菅さんに)できるかできないか、ですよ。それをやればね、それは民主党の中で小沢さんを信奉する人達は怒るでしょう。党内も混乱するでしょう。でも、国民が見ていて「そうだな」って思うことをする。それが今の菅さんには必要なんじゃないですか」