今年、エリアで起きた大事件をシリーズで振り返ります。
1回目のきょうは、博多湾で女性会社員の切断された遺体が相次いで見つかった事件です。
犯人の逮捕に至らぬまま9か月が経過し、警察は、報奨金制度も適用して新たな手がかりを探しています。
今年3月から翌月にかけて、福岡市の会社員、諸賀礼子さん(32)の切断された遺体が、相次いで見つかった事件。
福岡県警は今月、有力な情報を提供した人に最高で300万円の報奨金を支払うことを決めました。
●福岡県警博多警察署・堀川国弘刑事管理官
「小さな情報でも結構ですので、ご協力をお願いします」
しかし、県警が、報奨金制度に踏み切ったということは裏返せば、捜査が行き詰っていることを物語っています。
諸賀さんの遺体は、西区の能古島など、博多湾の4か所で相次いで見つかりました。
捜査が難航する最大の要因は、遺体がどこで切断され、どこから遺棄されたのか、特定されていないということです。
そのため、現場に残されているはずの犯人につながる証拠が得られないままなのです。
この画像は、今年3月5日の、午後4時ごろに仕事の取引先の防犯カメラに映っていたものです。
グレーのパンツスーツ姿の諸賀さんの手には、財布が握られています。
諸賀さんは、この3時間後、この服装で退社しました。
午後8時ごろには、博多区の自宅近くにある駐車場に、諸賀さんの車が止まっているのが確認されています。
また、自宅の玄関先にはこの画像に映っていた財布が、残されていました。
こうしたことから警察は、諸賀さんがいったん帰宅した後、外出したか、何者かに連れ出されたとみていますが、諸賀さんの足取りはここで途絶えます。
遺体を切断するという残忍さから、警察は当初、強い怨恨が背景にあるとみて、交友関係を中心に捜査しました。
延べ7000人以上の捜査員を投入して友人・知人から仕事関係、さらには通っていたゴルフスクールや、訪れたことのある飲食店にまで聞き込みを行い、これまでに事情聴取した相手は3500人に上ります。
しかし、有力な手がかりはなく、警察は、描いた事件の構図を白紙に戻し、場当たり的な犯行の可能性も視野に捜査しています。
●大平記者
「発生から9か月が過ぎ、警察が最も恐れているのは、事件が風化すること、そして情報が寄せられなくなってしまうことです。そのため、福岡県警では初めてとなる報奨金制度を適用させ、何とか手がかりを得ようとしています」