読売新聞元論説委員の前沢猛氏(79)が25日、社説を巡る虚偽発言で名誉を傷つけられたとして、渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長に慰謝料150万円などを求めて東京地裁に提訴した。
訴状によると、渡辺氏は、日本新聞協会の機関紙(07年10月)のインタビュー記事で、自衛隊を巡る社内論争に触れ「社論と反対の社説を書いた論説委員に執筆を禁じたこともあった」と述べた。
前沢氏は「自衛隊を巡って社論に合致する社説を執筆しようとして渡辺氏に禁じられた」と主張。「論説委員が社論に反する社説を執筆したとすると社会的信頼と評価は失墜する」と訴えている。
渡辺氏側の弁護士は「個人を特定する記述はなく名誉棄損にはあたらない」としている。【和田武士】
毎日新聞 2010年11月26日 東京朝刊