【週刊 戦略調達 vol.78 2010.10.5】
中国は存在しないものと考えてみる
【購買アウトソーシング・カタログ購買システム大手アルファパーチェスとの提携のご案内】
この度、弊社は、購買アウトソーシングならびにカタログ購買システムの
日本での草分け的存在である株式会社アルファパーチェスと、それぞれの
ノウハウを合わせ、より専門的ノウハウを提供する調達・購買アウトソー
シングサービスの提供で合意しました。
アルファパーチェスの強みは現在130万品目を管理している調達・購買/
受発注/SCMプラットフォーム、購買専門スタッフによるコールセンター、
全国1万件の店舗物件を24時間365日で総合管理するファシリティサービス
ネットワークなどです。
この提携により、当社が持つ調達・購買業務ならびにそのマネジメントの
仕組みづくりと関連システムの設計能力を活かして、迅速な調達・購買業
務の改善、仕組みづくりにつながる調達・購買アウトソーシングサービス
を提供することが可能になりました。
特に、
□品目が膨大で管理が煩雑な試薬、電子部品などの研究所購買
□自社のみならずグループ企業も含めたMRO(工場資材)や事務用品など
の集中・共同購買
□社内物品・帳票在庫管理
□コンビニエンス、スーパー、ドラッグストア、ファーストフード、外食
チェーン、ホテルなど複数の店舗・施設のファシリティマネジメント
などの分野において、今回の提携が大きな効果をもたらします。
詳細は弊社プレスリリースをご覧下さい⇒
http://www.samuraisourcing.com/news/101004.html
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【今週のトピックス】
まずは中国に拘束されている高橋定氏の無事と早期解放を願う。
尖閣諸島沖での中国漁船船長逮捕を端とする中国政府の不当な振る舞いを
受け、今回は、調達・購買を超えて、中国とどう向き合うべきかについて
考える。
論点は3つ。
■ 調達・購買先としての中国
実は、調達・購買先としての中国との付き合い方は、何ら変わるものでは
ない。なぜなら、いつでもサプライヤを切り替えられるようにしておくの
が調達・購買の基本中の基本だからだ。
今回の一連の動きの中で、中国関税当局はレアアースの日本向けの輸出を
全面禁止した。レアアース以外でも各地の通関で開封検査の割合が大幅に
引き上げられたり、留め置きとされたりなど、日本向け輸出、日本からの
輸入貨物の通関手続きが強化された。
中国政府は、当件については公式声明では「指示を出していない」とその
関与を否定したものの、本当の所は分からない。政府の関与がないにして
も、今回の騒動の前から、中国では現場や個人の裁量で規制が行われる状
況が指摘されており、まだまだ法治国家とはいえないのが現状だ。
こうした国を相手に商売する時には、カントリーリスクを考え、国を超え
た複数購買を行わなければならない。調達・購買の観点からは、今回の騒
動は、改めてこの基本の大切を確認させられたに過ぎない。
我われとしては、こうした準備を予め整えておいた上で、向こうが全うな
商売をする間は付き合うが、そうでなくなったのであれば、さっさと見切
りをつける。中国のような不当な動きをする輩とは、これ位の覚悟で付き
合うのがちょうど良い。
■ 市場としての中国
頭が痛いのは、中国に売上の多くを依存している企業や、中国の市場の大
きさ、成長性に惹かれ投資してきた企業だ。
中国は、問題解決を狙う日本側が中国船船長を釈放した後、態度を軟化さ
せるどころか、謝罪と賠償を求める声明を発表、軍事管理区域に立ち入っ
たとしてフジタの日本人社員4人を拘束するなど、恫喝外交の姿勢を見せ
てきた。
大きな市場、低コストも魅力だが、ビジネスをする上で、これらと同じ位、
或いはそれ以上に大切なものに、予見性、需要の平準化がある。予めどう
なるかが分かっていれば、色々と工夫する余地がある。需要を平準化でき
れば、オペレーションコストは大きく下がる。
取引の相手に法治国家が好まれるのは、安全の問題もあるが、法治国家は
法に基づいて行動するので、相手がどのような行動を取るか予測ができる
からだ。
それが、中国のように、法や外交、国際商慣行を無視して、自分の都合で
勝手に振る舞い、都合が悪くなると暴力に訴えるという相手であると商売
にならない。そんな相手との取引額が大きくなればなる程、相手の都合に
よって売上が大きく振幅することになる。
今回の騒動により、中国のカントリーリスクが明らかになった。民主党の
枝野氏の発言ではないが、今後は不当は社員の拘束や財産の差し押さえが
あったとしても、「そうしたリスクがあるのを知っていて進出したのでしょ
う。自己責任で解決して下さい。」と国を始め、誰も助けてくれない可能
性がある。
ここは判断が分かれる所である。確かに、過去、総合商社は、政府や他の
企業に先駆けて、リスクが高いと見られていたインドネシアやイラクに進
出し、やがては大きな商権を確保するに至った。
誰もが足踏みするような国に他社に先駆けて進出し、時間を掛けて現地に
溶け込んでいけば、事業の成功に不可欠な人脈や現地でのブランドを築き
やすい。
ただ、中国で事業を継続、これから進出する企業については、何が起こっ
ても誰も助けてくれない、すべて自社の力で解決しなければならないとい
う覚悟を持って臨まなければならないことだけは確かだ。
考え方を少し変えてみてはどうだろう。今となっては、市場としての中国
は存在していないものと考えてみる。世界は広い。中国市場が無くなった
としても、インド、中南米、ロシアなど、次の次と目されていた市場に少
し前倒しで注力する。中東、アフリカなど、日本の他社があまり目を向け
ない市場に一足飛びに進出する。市場の大きさ、近さを考えると、なかな
か中国市場をあきらめるのは難しく、ついついずるすると参入を続けてし
まうかもしれないが、無いものと考えれば、すっぱりとあきらめ、大胆な
次の一手が打てるかもしれない。
■ 今、政府批判を繰り広げる時か
今回の騒動の過程で、突然、中国人船長が検察の判断で釈放されたことに
つき、政府に対して、野党、ジャーナリストだけでなく、民主党からも批
判の声が上がっている。
果たして、現在、こんな内輪もめをしている場合だろうか?
正に、こうした国内の浮ついた対応が中国政府を勢いづかせていることを、
今このタイミングで声高に批判の声を上げているこれらの輩はなぜ気づか
ないのか。
中国政府が強気に出てくる要因の一つは、日本は強くプレッシャーを掛け
るとすぐに右往左往し、国内がばらばらにことを見透かしているからだ。
普通は、第三の大きな敵が現れると、今まで敵、味方に分かれていたもの
でも一つにまとまるものだ。中国政府が尖閣諸島の領有権をわざわざ問題
として持ち出し、今回の騒動を機会に問題を拡大させているのも、中国国
内の拡大する経済格差に対する不満を隠すためや、中国現政権が10月に開
かれる中国共産党の中央委員会第5回総会を乗り切るためのものと目され
ている。中国の方が、外敵を作って党や国内をまとめるという常套手段を
上手く使っている。
これは、民主党だけ、政治の問題ではない。日本対中国の問題だ。日本と
いっても国家という第三者に問題を任せるという意味ではない。我われと
恫喝、暴力的手段によって我われの生活を脅かそうとする国との対決だ。
暴力に対抗するには不服従しかない。恫喝、暴力に屈してはならない。
こんな危機的状況の中でまずやらなければならないのは、コミュニティと
しての日本が一つにまとまり、不当な要求をはねのけることだ。日本政府
の対応に問題があるにしても、それは敵に伝わらないようにしつつ、内側
で粛々と解決しよう。今は、日本が一枚岩であることを外向けに示すのが
先決だ。
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【2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング継続調査のご案内】
弊社では、調達・購買業務のあるべき姿と日本の現状、各社様の状況を明
らかにするストラテジックソーシングスコアカードを活用したベンチマー
キング調査を継続的に行っています。
当調査は日本の調達業務の礎づくりという観点から、無料にて実施してい
ます。調査にご協力頂いた方には、漏れなく2010年春に実施した調査・分
析結果をまとめた「2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング調
査報告書」ならびに次回更新版(2011年春実施予定)を差し上げます。
調達業務のあるべき姿、他社との比較の中での貴社の現状、今後の改善点
を把握する上で、参考になる情報を提供できるかと存じますので、より多
くの方々にご協力賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
当調査の詳細と継続調査への参加申し込みについては
http://www.samuraisourcing.com/service/benchmark/ をご覧下さい。
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【株式会社 戦略調達からの他の情報提供のご案内】
※弊社からの情報提供は、調達・購買・物流関連業務に携わっている方向
けに行っているため、企業・機関・団体様を特定できない場合や、コンサ
ルティング業やソリューション提供業の方の申し込みについてはお断りさ
せて頂きます。ご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
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購買業務の方向性と、日本企業のこれらの購買業務の現状、今後の取組の
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をご記入の上、ms1@samuraisourcing.com 宛に、もしくはこのメールの返
信にてお申し込み下さい。
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弊社では、喫緊の課題である環境問題に調達・購買活動から貢献すべく、
環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それに資する優良なサ
プライヤの紹介など、企業の調達・購買活動からできる環境経営に関する
情報発信を行う、環境調達.comを運営しています。
環境調達.comはこちら⇒ http://samuraisourcing.com/knowledge/green/
環境調達.comの開設に合わせて、毎週木曜日+都度、環境調達.comの新着
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始しました。メールマガジン「環境調達.com」のご購読はこちら(ご購読
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調達・購買部門のマネジメントのあり方について、1.部門マネジメント、
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バイヤーキャリア15年、中国調達7年の産機部品バイヤーのZhenさんの中国
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【編集後記】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
アルファパーチェスとの提携は、あるお客様の取り持ちから始まりました。
良い出会いを頂き、本当に感謝しています。ありがとうございました。
カタログ購買というと事務用品のためのものと思われ勝ちですが、アルファ
パーチェスは事務用品を超え、試薬、電子部品といった研究所購買、工場
副資材、清掃、工事、設備機器などファシリティ関連など130万品目の品揃
えと、それを管理できる調達・購買/受発注/SCMプラットフォーム、購買
専門スタッフによる発注・納期管理能力が魅力です。
この提携を機に、より多くのお客様のより多様な品目において「最善の調
達・購買」を実現するサービスの提供に一層努めて参ります(山本)
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【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
www.samuraisourcing.com
■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
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