【コラム】インターネット時代の「救世主」(下)

 玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官は昨年7月、スティーブンス大使に対し、「1月に金正日(キム・ジョンイル=北朝鮮総書記)に会った王家瑞が、『金正日の頭を見て脳卒中の手術あとを見つけようとしたが、見つからなかった』と言っていたよ」と話した。また、「金日成(キム・イルソン=北朝鮮主席)の15周忌の日、金正日は金永春(キム・ヨンチュン)国防委員会副委員長(兼人民武力相)を2度も呼んだ」という情報を伝え、金正日総書記からの深い信任を強調した。さらには、開城工業団地に対する李明博(イ・ミョンバク)政権の当時の考え方もうかがえる。玄長官は「開城工団の労働者約4万人とその家族は韓国式の生活様式に接し、労働者の服装や考え方には顕著な変化が見られる。開城市民15万人に直接影響する可能性を考慮すると、李明博政権はこのプロジェクトが失敗することを望んでいない」と語った。

 こうした話は初耳でも驚くほどのことでもない。ほかの米国大使館の公電にも興味はあるが、何かを覆すほどの内容ではない。これらが公開されたとしても、当事者が気まずくなるような政府間の「率直な」話が明らかになるだけだ。

 しかし、「透明性」を強調するアサンジ容疑者も、スウェーデン人女性2人に対する性犯罪容疑が詳しく報じられると、「スウェーデン政府は違法な手段で新聞社に文書を漏えいさせた」と声を荒げた。2000年前、キリストは十字架による処刑を甘んじて受け入れた。アサンジ容疑者は現在、スウェーデンへの送還を阻止しようとイギリスで訴訟を起こしている。同容疑者は「(わたしに)感謝することを知らない世間で、なぜ苦難を受け続けなければならないのか」と反論する。自らを正義と称する同容疑者にとって、警察の捜査は自身を縛り付ける「陰謀」にすぎない。それがたとえ性犯罪容疑であってもだ。わたしたちは今後、こうしたアサンジ容疑者のような「インターネット救世主」に接する機会が増えるかもしれない。

李哲民(イ・チョルミン)デジタルニュース部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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