2010.12.20 05:00
韓国でiPhone4が発売された今年9月10日、製品を同国で独占販売するKTのソウルにあるショップには長蛇の列ができた(ブルームバーグ)【拡大】
韓国の携帯電話メーカー大手サムスン電子やLG電子が、国内の高機能携帯電話(スマートフォン)市場で米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の登場以来、劣勢に立たされている。自社の携帯端末向け基本ソフト(OS)で勝負できない韓国メーカーは、アプリケーションが売りのスマートフォン事業で先細りする可能性に頭を悩ませている。
ソウルのウェブデザイナー、キム・ジュンヨンさん(37)はこれまで、海外メーカーの携帯電話には見向きもしなかったが、昨年末にアップルのアイフォーンが発売されると、国内メーカーへの忠誠心は消えうせたという。アプリケーションで検索したレシピをよく利用するというキムさんは「アイフォーンのデザインはかっこいいし、手にした感触も最高。スマートフォンをもう1台を買うとしても、LGやサムスンの製品は選ばない」と話す。
失われた優位性
最大手のノキアに続き、世界有数の携帯電話メーカーとして君臨するサムスンとLGだが、自国市場での優位性はすでに失われたようだ。韓国でアイフォーンが発売されて1年、LGは携帯電話部門で記録的な損失を計上。サムスンは失った顧客の奪還に向け今月、新型スマートフォン「ネクサスS」を発表した。
携帯通信市場の調査会社ROAグループのコンサルタント、ハン・イリム氏は「韓国内で失った顧客層の大きさから見て、韓国企業は今後、海外市場で困難な状況に直面しそう。特にLGにとっては深刻」との見方を示している。
サムスンは6月、アイフォーンより大きい4インチのタッチスクリーンを搭載投入した「ギャラクシーS」を投入、国内180万台を合わせ、世界で800万台を販売。LGが10月に発売したスマートフォン「オプティマス・ワン」は、11月半ばまでに100万台以上が売れた。