口蹄疫:高級ブランド「横城韓牛」に非常事態

韓国政府、25日から予防ワクチン接種へ

安東、醴泉、坡州、高陽、仁川などの13万頭が対象

 慶尚北道安東市で先月29日に発生した家畜伝染病の口蹄(こうてい)疫が、京畿道を経て江原道にまで拡大し、23日には横城と原州でも感染が確認された。特に横城は代表的な高級韓牛(韓国伝統の肉牛)産地のため、防疫当局は非常事態に陥っている。

 また23日には仁川・江華、慶尚北道軍威、江原道江陵などでも感染の疑いがあるとの通報があり、全国への感染拡大が懸念されている。

 口蹄疫はひづめが二つに割れた牛や豚などが主に発病する伝染病(韓国では第1種家畜伝染病に指定)で、感染した家畜は口やひづめに水疱ができ、ひどい場合には動けなくなったり、死ぬケースもある。ただし防疫当局によると、口蹄疫を発病した家畜の肉を人間が食べても、感染する恐れはないという。

 感染が拡大していることを受け、農林水産食品部は殺処分と同時に、予防ワクチンの接種にも乗り出す方針だ。まずはウイルスが広まっているとみられる安東、醴泉、坡州、高陽、漣川など五つ地域で飼育されている牛13万3000頭が対象となる。農林水産食品部の関係者は、「800人の担当者が200チームに分かれ、25日から予防ワクチンの接種を開始する」と説明した。

 ワクチンが接種された牛は2-3週後に精密検査を受け、抗体の形成が確認されれば、食肉処理や売買が可能になる。ただし、ワクチン接種は非常防疫対策で、過去には2000年の感染拡大時に1度行われた程度だ。

 感染による被害は今も拡大しており、最終的に被害規模は過去最大となる見通しだ。23日の時点で慶尚北道、京畿道、江原道の19カ所で47件の感染例が確認され、牛、豚、ヤギ、鹿など27万8530頭が殺処分された。政府は農家への補償金など、4000億ウォン(約290億円)以上の対策予算が必要になると見込んでいる。今後感染が全国に拡大した場合、殺処分される家畜の数が増え、その影響で来年初めごろには、牛や豚などの価格が高騰することが懸念されている。ただし現時点では、牛肉価格などに目立った影響は出ていない。

 牛肉の消費者価格を見ると、1等級の韓牛ロース500グラムが先月の時点で3万6000ウォン(約2590円)ほどだったのが、口蹄疫の発生が確認されて以降は一時3万9000ウォン(約2800円)にまで跳ね上がった。しかし現在は3万4000ウォン(約2450円)ほどで落ち着いている。豚肉の場合、バラ肉500グラムが9月の時点で8900ウォン(約641円)、先月は8300ウォン(約597円)だったのが、今月22日には8700ウォン(約626円)へと再び上昇した。

 韓牛流通に詳しい複数の専門家は、感染が今後も拡大した場合、来年2月の旧正月を前に、横城韓牛をはじめとするブランド牛が品薄状態となり、価格が高騰する可能性もあると懸念している。ロッテマートで畜産の商品企画を担当するキム・チョルホさんは、「今のように速いペースで感染が拡大すれば、現地で品不足に陥る可能性がある」と述べた。

李陳錫(イ・ジンソク)記者

洪源祥(ホン・ウォンサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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