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児童ポルノ 宮城県「単純所持」禁止へ 来年度条例化目指す

 子どもが被写体のわいせつな画像や映像など児童ポルノの規制で、宮城県は個人が趣味で持つ「単純所持」の禁止を含めた条例制定の検討に入った。違反した場合の罰則も設け、2011年度内の成立を目指す。子どもに対し、恐怖心を与える行為(威迫行為)の禁止も盛り込む方針。

 児童買春・ポルノ禁止法は、販売や提供目的の所持を禁じているが、単純所持は対象外となっている。宮城県が目指す条例は独自の上乗せ規制で、児童ポルノを県内で所持、保管すると原則的に処罰される。
 単純所持を規制する場合、個人的収集をどう摘発するかや迷惑メールで送り付けられた場合も対象になるかなど、運用面で解決すべき課題が多い。関係者の間には、実効性を疑問視する見方もある。
 全国では奈良県が05年、「子どもを犯罪の被害から守る条例」を制定し、初めて単純所持を禁止した。宮城県は奈良県の条例を参考に、原案の策定を進めている。
 児童の定義は法律では「18歳未満」だが、奈良県は「13歳未満」としている。宮城県は「児童ポルノ被害者は13歳以上が多い」と分析。法に沿った定義にするかどうか慎重に検討している。
 ポルノの対象は法律に準じ「児童を相手方または児童による性交、性交類似行為」などの写真や画像、映像を収めた電子記録媒体と定める方針。罰則は、奈良県と同じく30万円以下の罰金とする案が有力だ。
 道路や公園、電車やバス内などで、保護者が付き添えない状況下の児童に対し、みだらなことを言ったり、進路に立ちふさがったりする行為を禁止する項目も盛り込む。
 県は27日に発足させる性犯罪被害者や大学教授らによる有識者懇談会から意見を聴き、村井嘉浩知事が本部長の「女性と子どもに対する暴力的行為の根絶対策」推進本部で条例案を詰める。
 児童ポルノはインターネット上の氾濫が問題化している。宮城県内では09年、幼い娘の裸体を撮影してネット上で有料取引した母親らが県警に摘発される事件もあった。
 法律の範囲を超える規制をめぐっては、罰則適用が憲法違反と指摘される可能性があるほか、「警察の捜査権乱用につながる」と懸念する意見も根強い。

[児童ポルノの単純所持] 個人が趣味で児童ポルノを集め保管すること。児童買春・ポルノ禁止法は個人のプライバシーに過度に踏み込むとして、単純所持を刑事罰の対象外としている。対応の遅れを国際社会に批判され、2008年に自民、公明両党が法改正を検討。09年7月に民主党も「単純所持」禁止に合意し、改正案が国会に提出されたが、衆院解散に伴い廃案となった。政権交代後、改正案は再提出されていない。


2010年12月24日金曜日


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