菅政権、未熟な情報収集?駐露大使更迭へ
政府が河野雅治・駐ロシア大使を事実上更迭する方針を固めたのは、北方領土問題をめぐる情報収集が不十分だったと見る菅首相や仙谷官房長官の意向が強く働いたものといえる。
人心一新を図り、対露外交の立て直しを図る狙いがあるとみられるが、一連の対応は、民主党政権の外交のあり方の根本にかかわる部分もあるといえそうだ。
河野大使の事実上の更迭は、11月1日のメドベージェフ・ロシア大統領の北方領土訪問をめぐる情報収集の不備が理由とみられる。首相は大統領の訪問直後に河野氏をモスクワから呼び戻し、事情を聞いた。首相官邸関係者らは当時から、「河野氏は大統領の訪問はないと繰り返していた。首相の面目は丸つぶれだ」と不満を示していた。
河野氏自身は10月28日、モスクワでの定例記者会見で、「訪問計画が具体的にあるとは大使として聞いていない」と表向き慎重に話していた。だが、在モスクワ大使館の幹部は、大統領の訪問直前、「(露政権幹部の)誰も訪問の可能性を否定しない。大統領が『近く行く』と言うのだから行くのだろう」と語っており、訪問を警戒する情報も東京に送っていたという。
焦点は、日本政府の情報収集と分析のあり方だ。
露政権の情報管理は、2000年にプーチン現首相が大統領に就任後、格段に厳しくなったという。日露外交筋は「政情が混乱し、内紛もあった1990年代はクレムリンの内部情報も取れたが、今は各国とも苦労している」と話し、ロシア動向の情報収集が困難になっていると話す。
そうした中、外務省幹部は現在の情報収集体制について、「事務レベルでは、モスクワの大使館だけでなく、米国、中国や欧州などの周辺国など、様々なルートがある」と説明する。
政治レベルでも、今年は、対露外交が得意だと自負する鳩山前首相が「首相特使」として9月前半に訪露し、メドべージェフ大統領と会談するなど、接触はあった。ただ、この時期、日本では民主党代表選が行われており、菅首相自身が対露外交を「鳩山さんに任せている」と語るなど、官邸が力を入れていた形跡はない。
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駐ロ大使を更迭へ 12月23日(木) 12時03分 (時事通信) | 河野駐露大使、更迭へ 北方領土対応で 12月24日(金) 8時00分 (産経新聞) |
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