ここでは、1.で解いた例題を、留数定理を用いて解いてみよう。
このように、本来は実数関数の定積分の問題なのだが、複素数関数の定積分の問題に翻訳
すると、実に見通しよく、どんな定積分の問題も統一的に解くことができる。これが、コーシーの
目指したものなのだろう。このようなエレガントな解答は、私にとっても非常に魅力的である。
解析の中に複素数を取り入れようとする試みは、実はコーシーよりも100年以上前の1702年
ジャン・ベルヌーイによってなされている。
数学以外にも、電気関係とか、複素数のお世話になっている学問は数多い。読者の方は、この
先の物語を、是非自分の手と足を使って、踏破してもらいたい。