この年度は、一定の水準すなわち4000万円以上の申告所得のある業者を、公表されている範囲で調査すると、前年度の12社に対して、今回も17社が数えられたにすぎない。とは言え、一つの変化は、既存の概念での美術商の数が前回よりも増えた(復活した)ことにある。具体的には、2003年度は4社だったのが、最大に枠を広げると12社になった。これでも依然として少なすぎるとは言え、現状の率直な現れと考えて、敢えて発表することにした。別表1の通りである。
今回、上記の美術商と区別して、新たに別表2を設けた。そこには外国版画の輸入を主とする業者、また複製品や新画の大量販売を行なう業者をまとめた。
表2の第1位のアールブリアンは申告所得4億400万円で、前年比125.7%と盛り返している。しかし、この業者6社のうち、前年度に4000万円以上の申告所得があって、それとの比でプラスとなっているのは、ただ2社であるという全体としてのこの減退は、どうしたことだろう。
留意されるのは、毎年のように首位かそれに近いトップクラスを占めていたアールビバンが、ここにないことである。2004年3月期の単独決算は、売上高78億7700万円、経常利益7億4100万円と依然高額だが、当期利益は5億2800万円の損失。しかし、2005年3月期は、売上高69億1000万円、経常利益4億8200万円、当期利益2億2200万円、連結決算では当期利益8億6900万円(前年比82.9%の増加)と好調。アールビバンは上場会社なので、現時点で、2005年3月期の業績が既に公表されている。
今日の日本の美術市場は、美術商ではなく、美術オークションを中心に動いている。
その最大会社シンワアートオークションの業績は、ホームページのIR情報によると、2004年5月期決算で、取扱高64億2121万2000円、売上高16億8081万6000円、経常利益3億1179万円、当期純益1億7466万2000円と発表されている。その前年が取扱高50億1206万8000円、売上高12億2269万7000円、経常利益2億3112万5000円、純利益1億2277万円だったから、相当な伸長と言っていい。しかし、2000年以降、高額作品も現れて、出品数と取扱高は増加しているにもかかわらず、平均単価は2000年並びに2001年に及んでいないことを付記しておく。この会社も上場されているので、2005年5月期の業績が7月に発表された。売上高19億4000万円(15.4%増)、経常利益4億1000万円(31.7%増)、当期利益2億3500万円(34.9%増)である。
毎日オークションは、2004年9月期の決算では、売上高8億6500万円、利益1億3120万円、申告所得2億1971万8000円(前年比153%の増加)である。売上高について見ると、シンワアートオークションの約半分であるとはいえ、この社もまた勢いを増している。AJCの2004年7月期の申告所得は1億3400万円。
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