2010年12月23日
新たな大都市制度を議論するため、大阪府の橋下徹知事が設置した府自治制度研究会(座長=新川達郎・同志社大大学院教授)は22日、知事への提言をとりまとめる最終会合を開き、府と大阪市の役割分担を明確にするため再編が必要としながら、知事が目指す大阪都構想の導入は困難とする意見で一致した。また、再編にあたっては府市が協議し、合意できない場合は住民投票を実施することも提案するとした。
最終案は1月、橋下知事に提言される。同研究会は橋下知事の肝いりで4月に発足。行政や財政の専門家ら5人が9回の議論を重ねてきた。
この日の会合では、東京都をモデルとした都制度について、特別区に分割しても市より財源や権限が弱いため自治体としての力が発揮できないことから「導入は困難」と一致した。委員から「ポピュリズム(大衆迎合)にならないよう」「一時の熱狂に踊らされないように」との意見も相次ぎ、住民が判断できるように制度の長所や短所を明確に示す必要があるとした。
一方で、現在の府と市は「責任の所在が不明確な『もたれあいの関係』」と指摘。政令指定都市制度は「住民の意向が反映されにくい」とし、人口267万人の大阪市を人口10万〜30万人規模の一般市に再編する「分市」案や、ロンドンのような小規模な区などと広域の行政体を設ける案を提言するとした。
橋下知事は22日、出張先の香港で「行政として意見はしっかり受け止めるが、政治活動は別」と話した。ポピュリズム批判には「有識者は制度に意見を述べればいい。政治的領域に踏み込むのは越権」と非難した。(池尻和生)