久高、カウンター及ばず！ぐらつかせるも判定負け…ＷＢＡ世界Ｓフライ級

８回ウーゴ・カサレス（左）の左フックを顔面に受ける久高

　◆プロボクシングＷＢＡ世界スーパーフライ級（５２・１キロ以下）タイトルマッチ　　○ウーゴ・カサレス（１２回　判定３―０）久高寛之●（２３日・大阪府立体育会館）　３度目の世界挑戦は完敗に終わった。ＷＢＡ世界スーパーフライ級６位の久高寛之（２５）＝仲里ＡＴＳＵＭＩ＝は、王者ウーゴ・カサレス（３２）＝メキシコ＝に０―３の判定負け。４回には得意の右カウンター一撃でぐらつかせたが、王者のスイッチに幻惑されて主導権を握れなかった。カサレスは今後のバンタム級転向にも意欲を見せた。久高は１９勝（８ＫＯ）９敗１分け。カサレスは３３勝（２３ＫＯ）６敗２分け。（観衆５０００人）

　最愛の人にベルトは届けられなかった。試合終了のゴングと同時にリングでぐったりと両腕を下ろした久高。「採点は妥当かなと思いました」。６、６、４ポイント差の判定負け。リングサイドで見守った婚約者・あずささん（２５）や家族にグラブを合わせて頭を下げた。

　ベテラン王者のうまさにやられた。４回だ。久高の生命線の右カウンターが完璧に入ったが、ここからまとめられない。５回には左フックでぐらつかせてコーナーに詰めた。「手応えはあったけど、外し方がうまくて続かなかった」。構えをスイッチする相手に久高は最後までカウンター狙い。中盤のチャンスを逃すと、手数が出ずに細かいパンチを被弾した。

　名門のグリーンツダジムから０８年５月に現ジムに移籍。沖縄出身で「兄のように接してくれる」仲里義竜会長（４５）の熱心なマッチメークで３度もの世界戦が実現した。０７年に３連敗を喫するなど挫折のどん底にいた自分を引き上げてくれた。悲願の王座奪取ならず「恩返ししたかった」とつぶやいた。

　海外試合にも帯同し、４月に挙式するあずささんは「精いっぱいやったと思う」とねぎらった。かつて高校生で新人王になったホープもこの１０戦で５勝５敗。背水の陣の覚悟で臨んだだけに「今後のことは考えられない」と久高。４度目への意欲の言葉はすぐに出てこなかった。

　◆カサレス、名城と統一戦「やりたいね」　大差の判定で３度目の防衛。試合後は、リングサイドでテレビ解説を務めていた名城に歩み寄り「次の試合頑張って！」とエール。名城が来年２月５日にＷＢＣ同級王座に挑戦することから、「統一戦をやりたいね」と再戦を熱望した。また２６日にＷＢＡバンタム級王座を狙う亀田興毅にも「勝ってほしい。３つめのタイトルを日本で狙いたい」。階級を上げて、ライトフライ級を含めた３階級制覇にも意欲的。

　前ＷＢＡ世界スーパーフライ級王者・名城信男「序盤のボディーなどすごく有効だったが（カサレスは）やっぱり試合をつくるのがうまい。次の試合に勝って（５月に敗れた）カサレスともう一度戦いたい」

　◆久高　寛之（ひさたか・ひろゆき）１９８５年４月２日、大阪市大正区生まれ。２５歳。０２年９月プロデビューし、０４年全日本フライ級新人王獲得。過去２度ＷＢＡ世界フライ級王座に挑戦し、０８年７月は坂田健史（協栄）に、０９年５月はデンカオセーン（タイ）に判定負け。今年５月にＷＢＣフライ級１位のポノムルンレック（タイ）に敵地で８回ＴＫＯ勝ちした。１６４センチの右ボクサーファイター。独身。