口蹄疫:韓国政府、ワクチン接種を決定(下)

最終手段、予防ワクチン接種を決定

 農林水産食品部は当初、今回の口蹄疫については殺処分で十分との判断を下していた。ワクチンを接種する場合、中国など口蹄疫ワクチンを使用する国からの牛肉や豚肉を輸入禁止にする根拠が失われ、畜産農家が被害を受けるとの理由からだ。

 しかし、口蹄疫が江原道にまで拡大したため、対処しきれなくなった。一部畜産業団体の反対にもかかわらず、全国的な拡大を防止するためには、牛に対するワクチン接種が避けられないと判断したわけだ。農林水産食品部の関係者は、「牛は豚よりも感染速度が速い。牛は、ウイルスが10個でも感染するが、豚は800-1000個以上でなければ感染しない」と説明した。

 政府は現在、韓国国内に備蓄されている30万頭分のワクチンをまず使用し、近く英国から120万頭分を輸入、来年初めには250万頭分を輸入する予定だ。4000万頭分のワクチン価格は43億ウォン(約3億1000万円)に達する。

 しかし、ワクチン接種で口蹄疫を完全に遮断できるわけではない。台湾は1997年の口蹄疫発生以降、毎年1度の予防接種を実施しているが、その後4度も口蹄疫が発生している。ワクチンを接種した牛のうち、15%程度は抗体が形成されなかったという。建国大のキム・スンジェ教授は、「口蹄疫の予防ワクチンを接種すれば発病件数を減らすことはできるが、徹底的な事後管理を行わない限り、口蹄疫ウイルスを根絶することはできない」との見方を示した。

李陳錫(イ・ジンソク)記者

崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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