国際テロに関する警視庁公安部外事3課などの内部資料とみられる文書がインターネット上に流出した問題で、文書を収録した書籍を出版した「第三書館」(東京都新宿区)に対し、東京地裁(田代雅彦裁判長)は29日、出版や販売の差し止めを命じる仮処分決定を出した。個人情報を掲載されたイスラム教徒数人による28日の申し立てに基づくもので、プライバシーの侵害を認め、個人情報掲載の公益目的を否定した。
代理人弁護士によると、決定は「個人情報の公開は公益目的ではなく、テロに関する犯罪の容疑者であるかのような記述もあり、公開されれば回復不可能な損害を受ける恐れがある」と指摘。問題箇所を削除しないままの販売などを禁じた。
書籍は「流出『公安テロ情報』全データ」(480ページ)。申立人らの国籍、氏名、旅券番号、顔写真、家族構成などがそのまま掲載されている。2000部が出版された。【和田武士】
毎日新聞 2010年11月30日 東京朝刊